日本の数ある陶磁器の中でも、生産量の多い美濃焼は全国的に有名な焼きものです。
多種多様な技法によりデザインの幅も広く、おしゃれで魅力的な作品がたくさんあります。
本記事では美濃焼の人気作家や窯元を紹介!
おしゃれな美濃焼をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
鮨由う 尾崎 淳 大将
19歳の時に和食と出会い、23歳の時ミシュラン一つ星の『鎌倉以ず美』で鮨の奥深さを知り、鮨かねさか、神楽坂鮨りんで修業を重ねる。
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2016年12月、六本木に『鮨由う』をオープンし、オープン初年度にミシュラン一つ星を獲得。
技術と斬新さを追求しながら若手の育成にも力を入れ、若手が寿司を握るイベントを定期的に行っている。
TBS『ジョブチューン』を初め多くのメディアに出演。
美濃焼とは?
美濃焼は、約1300年もの長い歴史と伝統を誇る、岐阜県南部の東濃地方で作られている陶磁器です。
土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市などを中心に作られており、日本一の陶磁器の産地として知られています。
定まったスタイル・技法を持たず、多種多様さを持っていることが大きな特徴。
織部焼、瀬戸焼、志野焼、黄瀬戸などの焼きものも全て美濃焼に含まれ、現在では国内シェアの60%以上を占める焼きものの産地となっています。
さまざまな釉薬を用いた多彩な色味、型にはまらないバラエティに富んだ技法によるデザインの幅広さは、美濃焼ならではの魅力。
丈夫で温かみがある質感でどんなシーンにも馴染みやすく、日々の暮らしに溶け込む親しみやすい焼きものです。
美濃焼の歴史
美濃焼は、古墳時代後期〜奈良時代、東濃地方の山の斜面を利用して作った地下式の窯で、硬い質感を持った「須恵器」が焼かれたことがその発祥と言われています。
平安時代には釉薬を用いて陶器が焼成されるようになり、安土桃山時代〜江戸時代初期には、茶の湯の流行を反映して日本独自の美しさを持った芸術性の高いものが多く作られ、織部、志野、黄瀬戸などが繁栄しました。
江戸時代
江戸時代になると、いよいよ日常使いの食器としての量産が行われます。
末期にもなると、美しい白さを持った白磁や青磁の製造が始まり、コバルトの染付を施した硬質な磁器が登場しました。
そして、大量生産が安定し生産性が上がってきた美濃焼は全国的に流通していったのです。
大正時代〜現代
大正時代〜昭和にかけては、装飾的な技術開発が活発になり、それに伴って美術品・芸術品として価値のある美濃焼を作る名陶工も現れるようになりました。
芸術家として自己を表現する「陶芸家」が登場したのもこの頃です。
1978年には経済産業省により「伝統工芸品」として指定され、現代ではたくさんの陶芸家がその技術と伝統を継承しつつ、今のライフスタイルに合わせた新しい美濃焼の創造に力を注いでいます。
美濃焼の種類の様式と特徴
多種多様な様式を持つ美濃焼ですが、伝統工芸品として指定されている美濃焼には、全部で15種類の様式があり、それぞれ見た目の特徴や印象が異なってきます。
15種類の様式をまとめると次のとおりです。
黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部・天目・染付・赤絵・青磁・鉄釉・灰釉・粉引・御深井・飴釉・美濃伊賀・美濃唐津
美濃焼の基本の4つの様式
上記の15種類のうち、美濃焼の基本となる4つの様式が「黄瀬戸」「瀬戸黒」「志野」「織部」です。
この4様式は、安土桃山時代の茶道文化の全盛期をきっかけに誕生し、敢えて歪な見た目をよしとする人間味あふれる形状や、黒や白、黄、茶から赤、青など、豊かな色彩を楽しめる美濃焼が次々と生み出されていきました。
美濃焼のこれらの4つの様式の特徴をまとめると次のとおりです。
様式 | 画像 | 特徴 |
---|---|---|
黄瀬戸 | ・黄釉による美しい淡黄色 ・薄手の器にさまざまな草花の文様が描かれている ・しっとりした黄肌の「油揚げ肌」と光沢の強い「小瀬戸系黄瀬戸」がある ・「油揚げ肌」は希少価値が高い | |
瀬戸黒 | ・鉄釉を使用し焼成の過程で急冷することで現れる深い黒色 ・本来は「瀬戸黒茶碗」のことを指す ・漆黒でありながら柔らかみが感じられる ・文様のような装飾は施されない | |
志野 | ・志野釉(白釉)による乳白色にうっすらとした緋色 ・鉄釉を薄くかけた「紅志野」や鼠色の彫り文様がある「鼠志野」などもある ・美しさと温かさを持ち合わせている ・ほっこりとした素朴な雰囲気 | |
織部 | ・茶人の「古田織部」の名前に由来する ・草文様に緑の釉薬が施された「絵織部」が一般的 ・鉄を含む顔料で描かれる鉄絵も見られる ・歪なフォルム、多様な文様と色彩の種類も特徴的 |
美濃焼きの有名な人気窯元・作家8選!
ここからは、おしゃれでモダンな美濃焼の人気窯元・作家を紹介していきます。
厳選した8選をまとめると次のとおりです。
- 伸光窯 田中 一亮さん
- 南窯 工藤 工さん
- ふくべ窯 劒 雅明さん・劒 真澄さん
- 松泉窯 加藤 芳平さん
- カネコ小兵製陶所
- 松浦 祐介さん
- 鶴琳窯 林 英樹さん
- 辻井武蔵さん
1. 伸光窯 田中 一亮さん
明治28年創業の「伸光窯」は、岐阜県土岐市にて130年以上続く美濃焼の老舗窯元です。
現在は5代目となる田中一亮さんが、伝統技術を受け継ぎながら現代のライフスタイルに合った、使いやすくデザイン性の高い作品づくりに取り組んでいます。
中心となる作品は、美濃焼の代表的な様式である志野や織部。
「日々の暮らしに馴染み、溶け込む器」をコンセプトに、全工程をそれぞれの専門の職人が担い、手作業によって1つひとつ丁寧に仕上げられています。
写真は、メディアでも取り上げられた「コロン」(左)と「パステルジュレ」(右)。
蒸し物やオーブン料理、さらにはおひつの役目までこなしてしまう優れものの「コロン」は、そのまま食卓に出してもおしゃれに決まります。
多孔質な耐熱土を使うことでワンランク上の味わいを楽しめ、収納もコンパクトで使い勝手抜群です。
「パステルジュレ」は、マカロンのような色合いとふんわりとしたニュアンスが可愛らしいボウル型のコレクション。
明るく爽やかな雰囲気はテーブルを華やかに彩り、お祝いギフトにもおすすめです。
2. 南窯 工藤工さん
土岐市駄知町にある窯元「南窯」は、主に、織部、志野、粉引、赤絵、安南風呉須絵などの器を、1つひとつ丁寧な手作りで制作しています。
赤絵付け専門工房として活動されていた父、工藤陸雄さんの後を継ぎ、現在は2代目工藤工さんが伝統を受け継ぎつつ、モダンな感性で作陶されています。
工さんは、当初1990年頃より行なっていた量産形態から、1つひとつ手作りで制作するスタイルに一新し、釉薬の調合から染付、上絵付けなども自らの手で丁寧に仕上げています。
手掛ける作品は、美しい霞のような味わいのある染色と、軽やかな絵付けが魅力的。
デザイン性の高さはさることながら、「多くの人に使って欲しい」という言葉どおり、使い手のことを考えられた実用的でおしゃれな器です。
3. ふくべ窯 劒 雅明さん・ 劒 真澄さん
岐阜県土岐市にある「ふくべ窯」は、2016年より劒雅明さんと真澄さんのご夫婦が手掛けている窯元です。
現在では珍しい「精炻器(せいせっき)」と呼ばれる焼きものを制作しています。
昭和初期、岐阜県美濃地方生まれの精炻器は、その美しさから海外からの評判もよく主に貿易用として作られていましたが、職人の手間と技術を必要とすることで約50年ほど前には、その生産が途絶えてしまった焼きものです。
ふくべ窯では、精炻器の柔らかなやさしい絵付けや、どこかエキゾチックな雰囲気を今に伝えるべくこだわり続けています。
ノスタルジックな印象と時代に合わせたモダンなデザインを兼ね備えた愛らしい器は、他にはない新鮮な魅力を楽しめます。
4. 松泉窯 加藤 芳平さん
岐阜県土岐市にある「松泉窯」の加藤 芳平さんは、繊細かつダイナミックな作品が定評のある伝統工芸士です。
美濃焼にはあまり見られない水彩画のような透け感のある赤や青、緑、黄色の色彩は、独自に生み出した釉薬によるもの。
自作の鉄筆を使って描く草花や幻獣、幾何学模様などの文様は、躍動的な中にも細やかなやわらかさや優しさが感じられ、独特な感性が魅力的です。
また、外見の美しさだけでなく、日々の器としての実用性も抜群。
想像以上の軽さ、持ちやすさ、扱いやすさなど、使い手の立場にたった日常使いしやすい器が作り出されています。
5. カネコ小兵製陶所
岐阜県土岐市にある「カネコ小兵製陶所」は、2021年10月に創業100周年を迎え、歴史ある伝統を誇る窯元です。
代表作の1つ「ぎやまん陶」シリーズは、ガラスのような質感と漆の溜め塗りのような味わい深い色合いが魅力です。
日本独自の美しさと普遍的な魅力が海外からも注目され、パリの「ディオール本店」、同じくパリにあるミシュラン2つ星獲得の「ル・グラン・レストラン」、ヴェルサイユ宮殿の晩餐会などでも扱われています。
また、国内ではさまざまな美濃焼の窯元で「ぎやまん陶」を再現した作品が作られ、その和洋折衷な洗練された存在感と上品さは、多くの人を魅了しています。
6. 松浦祐介さん
岐阜県恵那市で作陶されている松浦祐介さんは、繊細で丁寧な気品あふれるうつわを制作されている作家さんです。
伝統を大切にした作品の数々には随所にモダンな感性が光っており、現代の暮らしにも馴染むうつわばかり。
細やかな美しさを持った魅力的な作品が楽しめます。
7. 鶴琳窯 林 英樹さん
岐阜県土岐市生まれの林 英樹さんは「鶴琳窯」で作陶されています。
エキゾチックな印象のインパクトのある作風が、林さんの持ち味です。
「線刻」と呼ばれるアートのような彫り模様が特徴的で、唯一無二のうつわが楽しめます。
絵画のようにも見えるうつわは見た目だけではなく実用性も兼ね備えており、手に馴染みやすく心地よく使えるデザインです。
8. 辻井 武蔵さん
東京都出身の辻井 武蔵さんは、瀬戸市の製陶所で勤務したのち多治見市でも陶芸を学び、現在では瑞浪市内で工房を構えて作陶されている作家さんです。
辻井さんの作品は、形状や色味などほっと癒される温もりある雰囲気が魅力です。
伝統的な焼きものらしさとモダンな暮らしに馴染むほっこりとした可愛いデザインは、優しい気持ちにさせてくれます。
おしゃれな美濃焼の器で日常的の食卓に美しい彩りを添えましょう!
いかがでしたか?
おしゃれなデザインで人気の美濃焼の窯元・作家8選を紹介しました。
本記事のポイントをまとめると次のとおりです。
- 約1300年もの歴史を持つ美濃焼は岐阜県南部の東濃地方で作られている陶磁器
- 国内シェアの60%以上を占める焼きもの
- 多彩な色味とバラエティに富んだ技法によるデザインの幅広さが特徴
- 1978年に伝統工芸品として指定されている
- 美濃焼の様式は15種類あり、その中でも基本となる4つの様式は「黄瀬戸」「瀬戸黒」「志野」「織部」
- おすすめの窯元・作家は「伸光窯 田中 一亮さん」「南窯 工藤工さん」など
美濃焼は、多種多様な幅広いデザインを楽しめ、モダンでおしゃれな作風の作家や窯元がたくさん存在します。
ぜひ本記事を参考に、お気に入りのおしゃれな美濃焼を見つけてみてください!
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