日本には、独特な風合いを持つさまざまな種類の焼き物があります。
本記事では、焼き物の種類やその魅力・特徴を解説するとともに、生活を豊かにするおしゃれな食器も紹介していきます。
焼き物の知識を持つことで、食卓を彩る食器選びがより楽しいものになるでしょう!
TOGO’S 東郷 健一郎
1987年ニューヨークの老舗寿司店「初花」で修業を重ねる。
5年の勤務時、支店の料理長を任される。その後、寿司以外の料理を研鑚すべく、マンハッタンの人気日本料理店で2年間料理の腕を磨く。
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1994年「NOBU」オーナーシェフの松久信幸氏の熱い誘いに応え、「NOBU NEW YORK CITY」オープンスタッフとして入店。
その後、2009年株式会社TOGO’Sを設立。
尽きる事のない探求心とこだわり、和食という枠にとどまる事なく、いつまでも記憶に残る料理を提供している。
日本の焼き物の魅力
日本の焼き物である陶磁器は、長い歴史や生活・文化から生み出されてきた多様性ある魅力を持っています。
器としての機能を果たすだけでなく、伝統工芸品としての芸術性を持つことから、美を愛好する作り手と使い手により常に進化し発展し続けてきました。
整った美しさを追求する世界の焼き物に比べ、日本の焼き物の美しさは「不均整さを持った自然に近い造形」にあると言われています。
例えば、器の厚みが均等でなかったり左右対称でなかったりと、不完全を愛でる美意識は、日本人ならではの感性です。
海外の方にも日本の焼き物が人気なのは、そうした日本人の独特な感性が、他にはない味わい深さを感じさせるためでしょう。
陶器と磁器の違い
「焼き物」は、大きく分けて「陶器」「磁器」「炻器」「土器」の4種類に分かれます。
中でも、最も一般的とされているのは「陶器」と「磁器」の2種類でしょう。
両者は原材料や焼き方、産地だけでなく、さまざまな点で違いがあり、仕上がりや扱い方もそれぞれに異なってきます。
陶器と磁器のそれぞれの主な特徴をまとめると次のとおりです。
項目 | 陶器 | 磁器 |
---|---|---|
原材料 | 陶土(土由来の粘土で有色) | 陶石(石由来の粘土で白色) |
焼成温度・釉薬 | 1,000~1,200℃・弱釉 | 1,200~1,300℃・強釉 |
質感 | 多孔性(目に見えない小さな穴がある)でザラザラ | 緻密でつるつる |
硬度 | ・柔らかめ ・磁器ほど焼き固められないためコツコツという鈍い音がする | ・硬め ・陶器より焼き固まっているためピンピンという金属音のような高い音がする |
透光性 | ・なし ・厚い作りで光を通さない | ・あり ・薄い作りで光を通す |
熱伝導 | ・低い ・熱が伝わりにくいため、徐々に温まり冷めにくい | ・高い ・熱が伝わりやすいため、熱しやすく冷めやすい |
吸水性 | ・あり ・吸水性があるため、使用前後に水に浸すなどのお手入れが必要(シミ・におい移り防止) | ・ほぼなし ・吸水性はほぼないため、お手入れが手軽 |
陶磁器には、バラエティに富んださまざまな作風・デザインのものがあるので、それぞれの好みに合わせていろいろな楽しみ方ができます。
見た目の雰囲気は、陶器は温かみがあり柔らかで土っぽい印象、磁器は滑らかで涼やかな印象のものが多いでしょう。
また、陶器と磁器の中間的な性質を持つ「炻器」は、鉄分の多い陶土を使ったり、釉薬の代わりに岩塩を用いたりするものもあり、ほとんどが有色で吸水性のないことが特徴の焼き物です。
日本の代表的な焼き物の産地・日本六古窯
日本には全国各地にたくさんの焼き物の産地がありますが、中でも「日本六古窯(にほんろっこよう)」と呼ばれる6つの産地(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)は、古来の陶磁器窯のうち、現在もなお生産が続いている代表的な焼き物の産地です。
日本六古窯の、越前焼、瀬戸焼、常滑焼、信楽焼、丹波焼、備前焼の6種類は、中国大陸から渡来した技術により始まった他の焼き物とは区別され、日本生まれ日本育ちの純粋な日本の焼き物として重宝されています。
有名で人気の焼き物13種類の産地と特徴・おすすめの器も紹介
ここからは、有名で人気のある焼き物の中から13選類をピックアップして、その産地とそれぞれの特徴、おすすめの陶磁器を紹介していきます。
まとめると次のとおりです。
No. | 種類 | 産地 | 素材 | 特徴 | おすすめ商品名 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 波佐見焼 | 長崎県東彼杵郡波佐見町 | 磁器 | ・白磁に染付をしたモダンなデザインのものが多い ・職人の分業制により大量生産が可能 | KIHARA Botanical 豆皿 5枚セット |
2 | 有田焼・伊万里焼 | 佐賀県有田町 | 磁器 | ・透き通るような白い磁肌に華やかな絵付け | アリタポーセリンラボ JAPAN SNOW 和皿 古伊万里草花紋 |
3 | 美濃焼 | 岐阜県東濃地方 | 陶器・磁器 | ・多種多様な様式とデザイン ・伝統工芸品指定 ・日本一の陶磁器生産量 | ケーアイ ORIGAMI アロマカップ |
4 | 清水焼 | 京都府 | 陶器・磁器 | ・特定の様式や技法がなく幅広い手法が見られる ・一貫した手仕事による繊細で優美な表現 | 陶好堂 尚山黄釉ウロコ紋小吸物 |
5 | 九谷焼 | 石川県 | 陶器・磁器 | ・色鮮やかで大胆な色絵 | 秀幸久谷 九谷焼 青郊窯 フリーカップ揃 名品コレクション |
6 | 瀬戸焼 | 愛知県瀬戸市 | 陶器・磁器 | ・さまざまな色合いの釉薬の使用 ・多種多様なデザイン | m.m.d. 取皿2枚セット |
7 | 常滑焼 | 愛知県常滑市 | 炻器・陶器 | ・赤茶色の朱泥 ・代表する製品として急須が有名 | 梅原昭二作 常滑焼き 急須 |
8 | 信楽焼 | 滋賀県甲賀市 | 陶器 | ・焼成の過程で自然にできる窯変 ・柔らかく温もりのある印象 | アトリエ野恵 ロココオーバル皿 |
9 | 丹波焼 | 兵庫県篠山市今田地区 | 陶器・炻器 | ・自然釉による温かみのある独特な色と模様 | 末晴窯 西端春奈作 フラワー 角皿 |
10 | 益子焼 | 栃栃木県芳賀郡益子町 | 陶器 | ・厚手の重厚な質感のものが多い ・釉薬を使ったさまざまな伝統技法 | わかさま陶芸 白夜の夜のお皿 |
11 | 備前焼 | 岡山県備前市 | 炻器 | ・釉薬を使用しない土感のある素朴なデザイン | 出製陶 備前焼 マグカップ |
12 | 萩焼 | 山口県萩市 | 陶器 | ・焼き締まりがなく柔らかく優しい質感 ・使い込むうちに貫入や七化けができ変化を楽しめる | マグカップ 時松泰礼作 萩焼 |
13 | やちむん | 沖縄県那覇市壺屋地区・読谷村 | 陶器 | ・コバルトブルーや緑、茶色をメインとした色合い ・こってりした素朴な質感 | 螢窯 変形皿 |
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 波佐見焼/長崎県
波佐見焼は、長崎県・東彼杵郡波佐見町で作られている磁器です。
1580年頃に初めて波佐見で焼かれた当初は陶器でしたが、朝鮮から磁器作りの技術が伝わってからはほとんどが磁器として生産されるようになりました。
透けるような白磁を活かして、呉須(藍色の顔料)による染付が特徴ですが、最近ではモダンなデザインも多く人気のある焼き物です。
また、職人の分業により大量生産ができることも特徴で、比較的リーズナブルで手にとりやすく、扱いやすいこともメリットでしょう。
- 産地:長崎県東彼杵郡波佐見町
- 素材:磁器
- 特徴:白磁に染付をしたモダンなデザインのものが多い・職人の分業制により大量生産が可能
KIHARA Botanical 豆皿 5枚セット
こちらは、シンプルでモダンなデザインが人気の「KIHARA」のBotanicalシリーズの豆皿セット。
「KIHARA」は、400年以上の歴史を持つ波佐見焼や有田焼の伝統的な技術と美意識を、現代のライフスタイルに合わせたデザインで提案しているブランドです。
北欧っぽいニュアンスを感じさせるグラフィカルな花のデザインは、コスモス・アジサイ・ポピー・タンポポ・アネモネの5種類をイメージしています。
モダンな中にも手作業での金のタッチがポイントとなって、波佐見焼の味わいを感じさせてくれる手のひらサイズの素敵な豆皿です。
生産地 | 長崎県波佐見町 |
素材 | 磁器 |
サイズ | 直径8.5㎝× H1.5㎝ |
2. 有田焼・伊万里焼/佐賀県
有田焼・伊万里焼は、佐賀県有田町を中心に生産されており、日本最初の磁器とされています。
伊万里焼という名前は、江戸時代に有田で焼かれた磁器が伊万里川の河口から輸出されていたことが由来とされており、有田焼も伊万里焼も、呼び名が違うだけでどちらも同じ焼き物です。
白く滑らかな磁器に赤・緑・青・紫・黄のガラス質の上絵具を使った華やかな絵付けが特徴的で、その耐久性の高さから、美術品としてだけでなく日常使いにも親しまれている焼き物です。
- 産地:佐賀県有田町
- 素材:磁器
- 特徴:透き通るような白い磁肌に華やかな絵付け
アリタポーセリンラボ JAPAN SNOW 和皿 古伊万里草花紋
プラチナ・白・黒のコントラストが美しいこちらの和皿は、スタイリッシュなデザインが揃う「アりタポーセリンラボ」の人気の逸品。
伝統的な古伊万里里草花紋の柄・富を表現する吉祥模様を、モダンな配色で仕上げたセンスのよさが魅力です。
19㎝の中皿は使い勝手よく、縁が立ったデザインも用途の幅を広げてくれるでしょう。
生産地 | 佐賀県有田町 |
素材 | 磁器 |
サイズ | 直径19㎝× H3㎝ |
3. 美濃焼/岐阜県
岐阜県・美濃地方東部(土岐市・多治見市・可児市・瑞浪市)で作られている陶磁器は、総称して美濃焼と呼ばれ、その起源は5世紀までさかのぼります。
朝鮮から、須恵器の製法とともに、穴窯、ろくろが伝えられたことを機に焼き物の生産が始まり、現在では、その生産量はなんと全国約6割のシェアを誇り日本一の陶磁器の産地と言われています。
茶の湯が盛んになった安土桃山時代に大きく発展し、千利休によって確立された「織部」、赤褐色の火色が魅力の「志野」など15種類の品目が経済産業大臣から伝統工芸品として指定され、多種多様な様式・デザインが存在し、生活に溶け込みやすい陶磁器です。
- 産地:岐阜県東濃地方(土岐市・多治見市・可児市・瑞浪市)
- 素材:陶器・磁器
- 特徴:多種多様な様式とデザイン・伝統工芸品指定・日本一の陶磁器生産量
ケーアイ ORIGAMI アロマカップ
「ORIGAMI」は、岐阜県土岐市の業務用食器を中心に手がけてきたメーカーにより作られており、バリスタやコーヒーを愛好するスペシャリストに選ばれ続けているブランドです。
こちらのアロマカップは、コーヒーの香りを楽しむことをコンセプトに作られており、細部にわたって計算された形状により、他にはない格別なコーヒーアロマ体験を味わうことができます。
全9色の豊富なカラーバリエーションも魅力で、くすみ系からビビッド系まで好みに合わせて選べるのも嬉しいポイントです。
生産地 | 岐阜県土岐市 |
素材 | 磁器 |
サイズ | 直径80 全体幅105mm×高さ73mm(容量)約200ml |
4. 清水焼/京都府
京都府で作られる陶磁器・清水焼は、清水寺の参道の五条坂で作られていたことからその名が付きました。
清水焼の特徴は、特定の様式・技法を持っておらず、日本中のさまざまな土地の選りすぐりの原料や職人の技術が融合されていることです。
そのため、土っぽい風合いの陶器から、色鮮やかな染付や絵付けが施された磁器まで、幅広い手法による焼き物を見ることができます。
一貫して手仕事にこだわっていることや、伝統を重んじた日本人独特の優美な繊細さも清水焼の持つ魅力と言えるでしょう。
- 産地:京都府
- 素材:陶器・磁器
- 特徴:特定の様式・技法がなく、幅広い手法が見られる・一貫した手仕事による繊細で優美な表現
陶好堂 尚山黄釉ウロコ紋小吸物
京都五条坂に店を構える「陶好堂」は、京焼・清水焼の食器を主に取り扱っている業務用割烹食器専門店です。
こちらの器は、鮮やかな黄釉の色合いにブルーのウロコ紋のアクセントがスタイリッシュな小吸物。
シンプルながら食卓に映える存在感は、おもてなしにもぴったりです。
生産地 | 京都府五条坂 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 直径6㎝×H10㎝ |
5. 九谷焼/石川県
インパクトのある鮮やかな見た目が魅力的な九谷焼は、石川県の伝統的な陶磁器です。
1655年頃、加賀市の山中温泉九谷町で陶石が発見されたことをきっかけとして、磁器作りが始められ、現在では磁器も陶器もどちらも生産されています。
現在では、贈答品としても重宝され、日本のみならず海外でも「ジャパンクタニ」として知られ人気のある焼き物です。
「九谷五彩」と呼ばれる「赤・黄・緑・紫・紺青」の5色の和絵具を厚めに塗って仕上げる大胆な色絵を特徴とし、現在では、その伝統的な多色使いを生かしたモダンなデザインも多くあり、バリエーション豊かで個性的な九谷焼を楽しむことができます。
- 産地:石川県金沢市、小松市、加賀市、能美市
- 素材:陶器・磁器
- 特徴:色鮮やかで大胆な色絵
秀幸久谷 九谷焼 青郊窯 フリーカップ揃 名品コレクション
伝統的な味わいが堪能できる「青郊窯」の作品は、古くからの技法と最新技術が活かされた上質な九谷焼です。
九谷焼らしい5つの色絵は、統一感がありながらもどれもそれぞれに個性があり、食卓に明るい彩りを添えてくれます。
質のよい日常使いできる九谷焼として、使いやすく満足できる器となるでしょう。
生産地 | 石川県能美市 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 直径8㎝×高さ6.5㎝ |
6.瀬戸焼/愛知県
愛知県瀬戸市を中心に作られている瀬戸焼は、日本の歴史ある代表的な6つの窯「日本六古窯」のうちの1つです。
陶磁器の食器の総称として「せともの」という呼び名が使われることがありますが、これは「瀬戸焼」からきている言葉だと言われています。
このように陶磁器の代名詞ともなった瀬戸焼は、現在、陶器・磁器のどちらも生産されており、釉薬を匠に使った陶器や、呉須による美しい藍色の染付が魅力の磁器など、多種多様な焼き物が作り出されているのが特徴です。
また、たくさんの色合いの釉薬や絵付けによる多彩なデザインは、繊細な伝統的な模様だけでなく、ストライプやドット、幾何学模様などモダンなものも増えてきています。
- 産地:愛知県 瀬戸市
- 素材:陶器・磁器
- 特徴:さまざまな色合いの釉薬の使用・多種多様なデザイン
m.m.d. 取皿2枚セット
名古屋市栄にある雑貨店「m.m.d」のオリジナルシリーズの食器です。
正六角形が特徴的なキュートなツートンカラーの取り皿は、瀬戸で昔から親しまれた「掛け分け」という手法が施され、2色の釉薬で仕上げられています。
また、陶器と磁器の良さを合わせ持った「半磁器」という素材を採用し、柔らかな風合いと丈夫さを兼ね備えた瀬戸焼です。
日常使いしやすく、温かみのあるデザインは現代のライフスタイルにもマッチして、使いやすいアイテムでしょう。
生産地 | 愛知県瀬戸市 |
素材 | 半磁器 |
サイズ | 幅134㎜×奥行き155㎜×高さ20㎜ |
7. 常滑焼/愛知県
愛知県知多半島にある常滑市で作られる常滑焼も、中世から続く日本を代表する「日本六古窯」の1つです。
当時は3,000もの穴窯があったとされ、最大規模の産地と言われていました。
常滑焼の大きな特徴は、鉄分を多く含んだ陶土を使うことで、「朱泥」と呼ばれる赤茶色の焼き上がりになっている点です。
中でも、朱泥急須は常滑焼を代表する製品で、原料に含まれる鉄分とお茶の成分であるタンニンが反応し合い、お茶の苦味や渋みをまろやかに柔らかくしてくれる効果があるとされています。
- 産地:愛知県常滑市
- 素材:炻器(気孔が少なく吸水性は無し、ほとんどが不透明で有色の焼き物)・陶器
- 特徴:赤茶色の朱泥・代表する製品として急須が有名
梅原昭二作 常滑焼き 急須
常滑焼の伝統工芸士である梅原昭二氏による朱泥急須です。
茶こし部分が陶器製網になっており、金属製の茶こしが苦手な方にもおすすめです。
急須の中で茶葉がムラなく開くことから、お茶の旨み成分を余すことなく抽出することができます。
また、無駄な金属臭や雑味が出ないため、本来のお茶の味わいをしっかりと堪能できるでしょう。
生産地 | 愛知県常滑市 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 約径7.3×高(蓋含む)8.5cm 持ち手10cm |
8. 信楽焼/滋賀県
信楽焼は、滋賀県甲賀市信楽町を中心にその周辺で作られている陶磁器で、日本六古窯の1つです。
たぬきの置物が有名な信楽焼ですが、その始まりは鎌倉時代中頃、種ツボや水がめを作ったこととされています。
信楽焼の大きな特徴は、焼くことで自然にできる「窯変」と呼ばれる色合いや模様です。
窯変には、ほのかな赤色に発色する「火色(緋色)」や、燃えた薪の灰が焼き物の素材に含まれる長石と溶け合ってガラス質の青緑や黄緑色になる「自然釉(ビードロ釉)」などがあります。
温度や炊き方によって微妙に変化する様が面白く、味わい深い焼き物です。
- 産地:滋賀県甲賀市
- 素材:陶器
- 特徴:焼成の過程で自然にできる窯変・柔らかく温もりのある印象
アトリエ野恵 ロココオーバル皿S
「アトリエ野恵」は、自然豊かな信楽の小さな工房で、ご夫婦で1つ1つ丁寧に作品を作り上げています。
繊細で美しい大人可愛いデザインは、シンプルでありながら個性的で、その世界観を楽しむべく、シリーズ買いする方も多い人気のブランドです。
こちらのオーバル皿は、華やかな花のようなラインに、さりげない小さなドットが効いたおしゃれな一枚。
ぱっと目を惹くブルーグリーンの他、清楚なホワイト、大人っぽいブロンズの3色展開です。
生産地 | 滋賀県甲賀市 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 約横20.5cm×縦16cm×高さ1.5cm |
9. 丹波焼/兵庫
丹波焼は、兵庫県篠山市今田地区で作られている焼き物です。
平安・鎌倉時代は、紐作りという手法を用いてろくろを使わずに作られていましたが、現在では、丹波焼ならではの「蹴りろくろ」を使って形成されています。
赤土を使っているのも特徴的で、茶褐色の土肌からは温かみのある味わい深さが感じられ、「自然釉」と呼ばれる独特な色と模様が大きな特徴となっています。
自然釉は、焼成の過程で器の表面に積もった灰と原土に含まれる鉄分が溶け合ってでき、炎の当たり方や加減の違いで様々な表情を見せることから、またとして同じものはない、面白味のある焼き物です。
- 産地:兵庫県篠山市今田地区
- 素材:陶器・炻器
- 特徴:自然釉による温かみのある独特な色と模様
末晴窯 西端春奈作 フラワー 角皿
兵庫県篠山市にある「末晴窯」は、親子2代で作陶されている窯元です。
こちらのキュートなお皿は、娘さんの西端春奈さんの作品で「梅」「ミモザ」「あじさい」を表現した愛らしく温かい印象のデザイン。
手仕事による繊細な絵付けと不均整な形が味わい深い陶器です。
生産地 | 兵庫県篠山市 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 13.5㎝×13.5㎝×2㎝ |
10. 益子焼/栃木県
栃木県芳賀郡益子町で作られる益子焼は、江戸時代末期、笠間焼の修行をしていた大塚啓三郎が益子町で窯を開いたことから始まったとされています。
益子焼に使われる陶土は、砂気が多く気泡を多く含むため細かい細工がしにくいことから、厚手のぽってりとしたものが多いことが特徴です。
また、釉薬との相性が抜群で、青磁釉や飴釉などを用いた味わいある青緑や茶色、糠白釉で白化粧をするなどさまざまな技法が工夫されています。
- 産地:栃木県芳賀郡益子町
- 素材:陶器
- 特徴:厚手の重厚な質感のものが多い・釉薬を使ったさまざまな伝統技法
わかさま陶芸 白夜の夜のお皿
益子町の大自然の中にある「わかさま陶芸」は、生活に溶け込む温かみのある和食器を丁寧に手作りしている工房です。
こちらのメルヘンな名前のお皿は、北欧テイストのデザインが楽しめるアイテム。
Kinari ・ブラウン(飴釉)・オーシャン(BG)の3色展開で、釉薬による自然な色味が何とも味わい深く、益子焼の魅力を堪能できるでしょう。
生産地 | 栃木県芳賀郡益子町 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 直径約18.0×H約2.5㎝ |
11. 備前焼/岡山県
岡山県備前市を中心に作られている備前焼は、陶器と磁器の中間とも言える炻器です。
日本六古窯の1つで、古墳時代の須恵器の製法から発展してきたとされ、平安時代にお椀や瓦などの生活のための日用品を作ったことがその始まりと言われています。
備前焼の大きな特徴は釉薬を使わないことで、光沢のない土の持つ素朴さが前面に出ている様が魅力の焼き物です。
また、焼成の過程でできる「窯変」も楽しむことができ、土っぽい温かみとまたと同じものがない手作り感を堪能できるでしょう。
- 産地:岡山県備前市
- 素材:炻器
- 特徴:釉薬を使用しない土感のある素朴なデザイン
出製陶 備前焼 マグカップ
こちらのおしゃれなマグカップは、備前市伊部の工房「出製陶 (いずるせいとう)」の作品。
「佇まいの美しい焼き物」をコンセプトに、毎日の暮らしに溶け込むような焼き物を作り出しています。
古くからの伝統を受け継ぎながら、独自の工夫で新しいアイデアを次々と生み出しており、こちらのカップにも備前の土に顔料を混ぜたオリジナルの色土が使用されています。
左から、ウスベニ、トルコ、コガネ、群青と、繊細で味わいのある色合いが魅力。
どんな飲み物にも使うことができ、コーヒー、紅茶の他、ビールを入れれば、備前焼特有のきめ細かな泡を楽しめるでしょう。
生産地 | 岡山県備前市 |
素材 | 磁器 |
サイズ | 直径90㎜ × 高さ80㎜ |
12. 萩焼/山口県
古くから茶道の世界では「一楽、二萩、三唐津」と言われ、茶人が好む抹茶椀を「京都の楽焼」「山口の萩焼」「佐賀の唐津焼」の順に格付けしていました。
中でも、山口県萩市を中心に作られている萩焼は使い込むほどに、より味わい深い風合いが出てくる奥深さがあり、現代でも茶人好みの茶陶として大変有名で人気のある焼き物です。
萩焼は、低温でじっくりと焼かれるため焼き締まりがなく、柔らかく優しい質感が特徴です。
釉薬の伸縮率の違いにより表面にできる細かなひび模様「貫入」と、そこから水分が浸透することで味わいが変化する「七化け」は、器を持つ方にとってはより愛着が湧き魅力的な焼き物でしょう。
- 産地:山口県萩市
- 素材:陶器
- 特徴:焼き締まりがなく柔らかく優しい質感・使い込むうちに貫入や七化けができ変化を楽しめる
泰礼陶房 時松泰礼作 萩焼マグカップ
萩焼の工房、泰礼陶房の時松泰礼氏によるオリジナルティ溢れるモダンなマグカップ。
所々とぎれたライン模様は、マスキングテープを利用して付けたもので、素朴で柔らかな萩焼の魅力を生かした遊び心が楽しめます。
カラーはレッドの他にも、イエローやオレンジ、ブルーもあり、優しいフォルムにぱっと明るい色味が個性的な作品です。
生産地 | 山口県美祢市 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 径7.5cm 幅11.6cm 高さ8.2cm |
13.やちむん/沖縄県
沖縄の方言では‟焼き物”のことを「やちむん」と言います。
1616年に朝鮮人の3人の陶工が、製陶技法を伝えるために沖縄を訪れたことから、その歴史が始まったとされています。
那覇市壺屋地区・読谷村を中心に作られており、「やちむんの里」は観光名所としても知られ、多くの観光客が訪れている人気のスポットです。
やちむんの基盤となる「壺屋焼」が生まれた当初には、釉薬を用いずに低温で焼く「荒焼(アラヤチ)」という方法で作られていましたが、その後、絵付けを施して釉薬をかける「上焼(ジョウヤチ)」が主流となりました。
青い海を思わせるコバルトブルーや、南国の自然の緑や茶の色合いを用いた、鮮やかで躍動感ある絵付け、こってりとした風合いで温かみのある質感が魅力です。
- 産地:沖縄県那覇市壺屋地区・読谷村
- 素材:陶器
- 特徴:コバルトブルーや緑、茶色をメインとした色合い・こってりした素朴な質感
螢窯 変形皿
螢窯の山上學氏による、海から生まれてきたようなデザインのサンゴ礁のような美しい変形皿です。
それぞれ「砂浜」「エメラルドブルー」「群青」と呼ばれ、食器としても小物入れとしてもおしゃれに使えるでしょう。
所々にランダムに散らばる模様は、サンゴを押し当てて作られており、1つとして同じものはない手仕事の温かみを感じられる器です。
生産地 | 沖縄県本島北部大宜味村 |
素材 | 陶器 |
サイズ | 直径約15㎝×高さ約3㎝ |
日本の焼き物を使ってその魅力を楽しみましょう!
いかがでしたか?
日本の有名な焼き物13種類の産地やその魅力、おしゃれなおすすめの器などを紹介しました。
本記事のポイントをまとめると次のとおりです。
- 日本には全国各地に歴史ある焼き物の産地が存在する
- 日本の焼き物は、不均整さを持った自然に近い造形が美しいとされている
- 焼き物は「陶器」「磁器」「炻器」「土器」の4種類に分かれ、もっとも一般的なのは「陶器」と磁器
- 陶器と磁器はそれぞれに異なった特徴がある
- 古来から現在まで続く歴史と伝統を持つ「日本六古窯」は越前焼、瀬戸焼、常滑焼、信楽焼、丹波焼、備前焼の6つ
- 有名・人気の焼き物からピックアップした13種類は、波佐見焼、有田焼、美濃焼、清水焼、九谷焼、瀬戸焼、常滑焼、信楽焼、丹波焼、益子焼、備前焼、萩焼、やちむん
焼き物は、わたしたちの毎日の生活の中で欠かすことのできない道具であるとともに、日常に彩りを添え、気持ちを豊かにしてくれるアイテムです。
ぜひ本記事を参考に焼き物のある暮らしを楽しみましょう!
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