九谷焼は、色鮮やかな絵付けやさまざまなデザインが魅力です。
古くから時代とともに成長・発展し続け、日本をはじめ世界中から愛されている焼きものです。
本記事では、その魅力に迫るとともに選び方やおすすめも紹介します!
ハイセンスな九谷焼を探している方はぜひ参考にしてください。
鮨たかはし 高橋潤
幼少期より料理が好きで、技を極める職人に憧れ、寿司屋を志す。
ミシュラン三ツ星の名店『鮨さいとう』で修行をし、2014年 銀座に『鮨たかはし』開業。
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NHK きょうの料理でレシピ提供をし、バラエティー番組にも出演するほか、誠文堂新光社『すしのサイエンス』を英語、台湾語、韓国、フランス語で出版。
九谷焼とは?
日本を代表する色絵磁器である九谷焼は、石川県南部発祥の焼きものです。
360年以上の古い歴史を誇り、江戸時代から受け継がれている色鮮やかな絵付けが特徴的です。
デザインの種類が豊富なことから、さまざまな作風が見られるのも九谷焼の魅力でしょう。
最近では、ムーミンやミッフィーなどのキャラクター柄と伝統柄をミックスさせたコラボレーション作品なども見られ、ユニークな作品が次々と生み出されています。
九谷焼の発祥とあゆみ
九谷焼の発祥は、江戸時代初期1655年頃、現在の加賀市にあたる九谷村の金山で陶石が発見されたことがきっかけになったと言われています。
その後、茶人としても知られた加賀藩主・前田利治により始められた九谷焼は、「古九谷」としてその力強い豪快さで、現代でも美術品として高く評価されています。
「古九谷」の時代はわずか40〜50年で閉じてしまいますが、それから約100年後、京都から招き入れた、陶工であり文人画家の青木木米(あおき・もくべい)により春日山窯が開かれます。
これを機に、小野窯、吉田屋窯など次々と窯が作られ、この時期に作られた九谷焼は「再興九谷」(さいこうくたに)と呼ばれました。
日本から世界へ
明治時代には、小野窯の九谷庄三による絵付技法「彩色金襴手」が人気を博し、「庄山風」と呼ばれる九谷焼はウィーン万博にも出品されます。
こうして九谷焼は「ジャパンクタニ」として、日本のみならず世界的にも有名になりました。
1975年には、国の伝統工芸品として認定され、現在も日本が誇る代表的な色絵磁器として、才ある作り手たちにより、多種多様な作品が生み出され発展し続けています。
九谷焼の魅力
九谷焼は、普段使いの食器としても親しまれていますが、やはりその最大の魅力は「芸術性の高さ」です。
鮮やかな絵付けによる華やかな雰囲気から、デザインを重視する方や芸術的・美術的鑑賞の目的を持つ方などに好まれている焼きものです。
そんな九谷焼の魅力の基盤となっているのは、やはり上絵付けの伝統と、さまざまな窯元や作家の層の厚さでしょう。
上絵付けとは、釉薬をかけて本焼きした陶磁器の上に顔料を用いて絵を描き、その後再び焼成する技法です。
次に、その魅力的な絵付けの技法・画風について詳しく見てみましょう。
代表的な伝統技法・画風
九谷焼のさまざまな作風の基盤には、古くから継承されてきた多種多様な技法があります。
それぞれの技法・作風の違いについて知ることで、九谷焼を選ぶときや鑑賞するときなど、より興味深く楽しくなることでしょう。
代表的なものを次にまとめてみます。
古九谷 | ・赤、黄、緑、紫、紺青の「九谷五彩」が使われ自由で大胆な構図 ・呉須と五彩を用いた絵画的で力強い色絵が特徴的 ・五彩のうち赤を用いず、塗り埋める青手もある | |
---|---|---|
木米風 | ・京焼の名工 青木木米によって確立 ・九谷五彩を用いながらも主に赤色が使われている ・中国風の画風で、人物を主として五彩を用いて描かれている | |
吉田屋風 | ・青、黄、紫、紺青の四彩を使用 ・軽快で柔らかな筆致 ・緻密な模様や塗り詰められた絵柄が重厚な雰囲気 | |
飯田屋風 | ・「久谷赤絵」と呼ばれる赤色が特徴 ・唐人が題材になっていることが多い ・赤を使った細密描法で金彩が施されることもあり気品溢れる作風 | |
永楽風 | ・鮮やかな赤色を下塗りした後に金彩で絵柄を描く「金襴手」の手法 ・華やかな美しさが魅力 | |
庄三風 | ・古九谷、吉田屋、赤絵、金欄手の手法を兼ね備えたバランスの良さが美しい ・洋絵具も取り入れた彩色金襴手が施され豪華な絵柄が特徴 ・明治以降、産業九谷の主流となった作風 |
最近では、こうした伝統的な技法と現代のモダンな感性が融合した、ハイセンスで魅力的な作品が多く見られ、新たな技法を生み出すべく、意欲的に作陶している作家もたくさんいます。
技法・画風のバリエーションが豊富なため、窯元や作家によって随分と作風が異なっており、さまざまなデザインが楽しめるのも九谷焼の大きな魅力と言えるでしょう。
九谷焼の選び方
九谷焼のおすすめを紹介する前に「選び方」のコツを見てみましょう。
ポイントは次の3つです。
- 種類
- 陶器か磁器か
- 好きなデザイン・作風
1つずつ見ていきましょう。
1. 種類
九谷焼には、食器をはじめ日用品や文房具などさまざまな種類があります。
食器として使う色鮮やかな九谷焼は、華やかな雰囲気で食卓を明るく彩ってくれるでしょう。
和絵具を使った大胆な色絵物だけでなく、洋絵具を用いた繊細でふんわりした色味の作品も増えてきているので、料理との合わせやすさを気にされる方でも、きっとお気に入りの作品を選ぶことができるでしょう。
お皿、カップ、お茶碗、ボウルなど、そこにあるだけで存在感のある九谷焼は、相性の良い料理と合わせることで、お互いを引き立て合い素敵なテーブルコーディネートを楽しむことができます。
特に、九谷焼のコーヒーカップやマグカップ、デザート皿などは、くつろぎの時間を素敵に彩り、ワンランク上の特別なティータイムの演出におすすめです。
また、ボールペン、歯ブラシスタンドなどにも九谷焼が使われており、おしゃれで特別感がある見た目は、プレゼントにもぴったりでしょう。
2. 陶器か磁器か
九谷焼には、陶器と磁器の両方が存在します。
陶器は土由来の陶土、磁器は石由来の陶石を原料としており、見た目や質感、それぞれの特徴が異なってきます。
両者の特徴をまとめてみましょう。
項目 | 陶器 | 磁器 |
---|---|---|
原材料 | 陶土(土由来の粘土で有色) | 陶石(石由来の粘土で白色) |
焼成温度・釉薬 | 1,000~1,200℃・弱釉 | 1,200~1,300℃・強釉 |
質感 | 多孔性(目に見えない小さな穴がある)でザラザラ | 緻密でつるつる |
硬度 | ・柔らかめ ・磁器ほど焼き固められないためコツコツという鈍い音がする | ・硬め ・陶器より焼き固まっているためピンピンという金属音のような高い音がする |
透光性 | ・なし ・厚い作りで光を通さない | ・あり ・薄い作りで光を通す |
熱伝導 | ・低い ・熱が伝わりにくいため、徐々に温まり冷めにくい | ・高い ・熱が伝わりやすいため、熱しやすく冷めやすい |
吸水性 | ・あり ・吸水性があるため、使用前後に水に浸すなどのお手入れが必要(シミ・におい移り防止) | ・ほぼなし ・吸水性はほぼないため、お手入れが手軽 |
質感の好みやお手入れのしやすさ、用途による使いやすさなど、自分に合ったものを選びましょう。
3. 好きなデザイン・作風
九谷焼には、和食に合わせやすい古典柄から洋食にも似合うモダン柄まで、実に多種多様なデザインの作品があります。
デザイン性の高さが魅力の九谷焼を選ぶなら、見た目の気分が上がるとっておきのお気に入りの作品を選びましょう。
窯元や作家によって作風が大きく異なっているのも、九谷焼の特徴であり魅力です。
前述の「代表的な伝統技法・画風」も参考に、いろいろな九谷焼を比較して、自分の好きな作風・スタイルを見つけてみてください。
おしゃれな九谷焼のおすすめ人気4選!
さまざまな個性的な作風が楽しめる九谷焼の中から、おしゃれでモダンなデザインのおすすめの作品を4選紹介します。
まとめると次のとおりです。
- 九谷青窯 高原真由美 花尽くし 5.5寸皿
- 青郊窯 5柄から選べる色絵豆皿
- ハレクタニ マグカップ
- 九谷物産 コーヒーカップ & ソーサー 彩り十草
1つずつ見ていきましょう。
1. 九谷青窯 高原真由美 花尽くし 5.5寸皿
最初にご紹介する九谷焼のおすすめは「九谷青窯」 高原真由美さんによる「花尽くし」プレートです。
深い藍色とグレーがかった水色、青の濃淡で表現された大きな花がぐるりとプレート周りに描かれています。
静かさと華やかさを兼ね備えた魅力的なプレートは、どんな料理にも合わせやすいデザインでしょう。
取り分け皿やケーキ皿、和菓子皿などに使いやすいサイズ感です。
磁器製なので丈夫で普段使いもしやすく、暮らしに馴染むプレートです。
2. 青郊窯 5柄から選べる色絵豆皿
九谷焼を代表する窯元「青郊窯」の和モダンなデザインの繊細な模様が可愛い磁器豆皿の5枚セットです。
1枚あるだけで食卓がパッと華やぎます。
それぞれに表情の違う5枚ですが、一緒に使ってもうるさくならず、カラフルな統一感でテーブルを盛り上げてくれるでしょう。
普段使いにも、またギフトとしても喜ばれる作品です。
3. ハレクタニ マグカップ
蝶とカモメのデザインが可愛い北欧テイストの磁器マグカップです。
どっしりとした台形型のフォルムは、見た目の魅力もさることながら、倒れにくく安定して使うことができます。
4パターンのデザインは、それぞれの個性が楽しめ、控えめながら印象的なデザインは、日々の暮らしに明るいアクセントを添えてくれるでしょう。
4. 九谷物産 コーヒーカップ & ソーサー 彩り十草
こちらのコーヒーカップ&ソーサーのセットは、磁器の白さに色とりどりのラインが映えるモダンな作品です。
水彩画のような美しい色味と、動きのあるランダムな絵付けが魅力的で、コーヒータイムが楽しくなります。
手前のカップは暖色系、後ろ側のカップは寒色系が基調となっており、ペアで使えて、カップルや夫婦へのギフトにもおすすめです。
また、ソーサーは、真ん中に窪みのあるタイプですが、チョコレートや和菓子、オードブルなど、小さな食材をちょこんと乗せるとおしゃれに使えるでしょう。
九谷焼を使って暮らしを鮮やかな彩りを!
いかがでしたか?
九谷焼の魅力をお伝えするとともに、モダンでおしゃれな作品を4選ご紹介してきました。
本記事の大切なポイントをまとめると次のとおりです。
- 九谷焼は、石川県南部発祥の日本を代表する色絵磁器
- 九谷焼の魅力は色鮮やかな上絵付けとさまざまな窯元や作家の個性的な作風
- 選び方のポイントは「種類」「陶器か磁器か」「好きなデザイン・作風」の3つ
- おすすめの作品は「九谷青窯 高原真由美 花尽くし 5.5寸皿」や「青郊窯 5柄から選べる色絵豆皿」など
九谷焼は、伝統的な技法と個性的なデザインが一度に楽しめる芸術性の高い焼きものです。
ぜひ本記事を参考に、暮らしを彩る九谷焼を生活の中に取り入れてその魅力に触れてみてください!
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