「砥石の使い方が知りたい」と考えていませんか?
包丁の切れ味が悪くなったら使う砥石ですが、具体的な使い方は知らないですよね。
そこで本記事では砥石の使い方について準備から実際の使い方について紹介していきます。
砥石をメンテナンスするための「面直し砥石」についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
TOGO’S 東郷 健一郎
1987年ニューヨークの老舗寿司店「初花」で修業を重ねる。
5年の勤務時、支店の料理長を任される。その後、寿司以外の料理を研鑚すべく、マンハッタンの人気日本料理店で2年間料理の腕を磨く。
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1994年「NOBU」オーナーシェフの松久信幸氏の熱い誘いに応え、「NOBU NEW YORK CITY」オープンスタッフとして入店。
その後、2009年株式会社TOGO’Sを設立。
尽きる事のない探求心とこだわり、和食という枠にとどまる事なく、いつまでも記憶に残る料理を提供している。
砥石を使うタイミング
包丁は調理をする上で欠かせない道具であり、切れ味が命です。
切れ味が悪くなると、調理の効率が下がるだけでなく、包丁を使う人の手に負担がかかり、危険も伴います。
そのため、包丁の手入れは定期的に行う必要があります。包丁の手入れで砥石を使うタイミングは、以下の通りです。
- 切れ味が悪くなったと感じたとき
- 包丁の刃がガタついたり、曲がったりしたとき
- 包丁を長期間使用した後(1〜3ヶ月に1回程度)
切れ味が悪くなったと感じたら、まず砥石で包丁を研ぐ必要があり、包丁の種類や用途によって、適切な粒度の砥石を選びましょう。
また、包丁の刃がガタついたり、曲がったりした場合も、砥石で修正することができます。
定期的な手入れとしては、1〜3ヶ月に1回程度、包丁を砥石で研ぐことが理想的です。
これにより、包丁の切れ味を長く維持することができます。
ただし、砥石の使い方には注意が必要です。力加減や角度が適切でないと、かえって包丁を傷めてしまう可能性があります。初心者の方は、経験者から直接指導を受けたり、専門店で研いでもらったりすることをおすすめします。
包丁は大切な調理道具です。定期的な手入れと適切な砥石の使用により、長く切れ味の良い状態を保ちましょう。
【下準備】砥石の使い方
まずは砥石の下準備について紹介していきます。
今回は以下の紹介するのは以下の手順です。
- 砥石を用意する
- 砥ぐ場所を確保する
- 砥石を水につける
では見ていきましょう。
1.砥石を用意する
まずは砥石など必要なものを用意しましょう。
用意するものは以下の通りです。
- 包丁
- 砥石と砥石台
- 水を入れる容器
- 粗い紙
- 面直し砥石
- 鉛筆
- 台拭き
粗い紙を使う場合は、新聞紙のような表面がざらざらとしたものを使うようにしましょう。
もし新聞紙がなければ、週刊誌の中にある紙や使わないジーンズでも問題ありません。
砥石の種類
砥石には包丁を研ぐ用と、砥石を研ぐための道具の2種類があります。
包丁を研ぐための砥石とは別に、砥石を研ぐための砥石として「面直し砥石」があります。
メンテナンスに必要な面直し砥石は、砥石を使用する方であれば、1つは持っておきたい道具です。
面直し砥石を使うメリットは、砥石を使い終わった後に砥石の表面を平らにできること。
そうすることで、包丁を綺麗に正しく研ぐことが出来るようになります。
2.砥ぐ場所を確保する
準備物を用意できたら研ぐための場所を確保しましょう。
準備物にもあった通り、水を入れる容器などを使用して付近が濡れてしまう可能性があるため、問題のない場所を選びます。
また包丁を扱うため、無理な姿勢を強いられる場所や家族や周りの人と出入りがする場所も、もちろん避けましょう。
3.砥石を水につける
場所を確保したら、水を入れた容器に砥石を10~15分浸しましょう。
砥石には小さな穴がいくつも空いており、水に浸すことで水分を吸収し、研ぐ際に刃の滑りが良くなります。
砥石全体が水に浸かるようにし、気泡が出なくなったら準備完了の合図です。
【実践編】砥石の使い方
では次に実際に砥石を使って包丁を研いでいましょう。
ここからは以下の手順で紹介します。
1.包丁を準備
2.実際に研ぐ
3.メンテナンスをする
では解説していきます。
1.包丁を準備
砥石の準備が終わったら、次に包丁を準備しましょう。
包丁を砥石に対して45度で置き、両刃包丁の場合は15度、片刃包丁の場合は10円玉2枚分ほど離してください。
両刃包丁を置く15度の目安は、「小指の先が入るほどの隙間」と覚えておくと便利です。
2.実際に研ぐ
包丁を準備できたら、次は実際に研いでいきましょう。
研ぐ手順は以下の通り。
- 砥石に置いた包丁を押すときに力を入れ、引く時に力を抜いて4~5箇所に分けて10回ほど研ぐ
- 裏面をさわって“バリ”があるか確認し表は完了
- 裏面を1と同じようにセットし、表とは反対に押す時に力を抜き、引く時に力を入れる
- 4~5箇所に分けて10回ほど研いだら、バリを確認
- 最後に粗い紙でバリを取ったら終了
ポイントは研ぎ終わった際にバリを確認することです。
バリはかえりとも呼ばれており、包丁を研いだ際に削れた部分が固まってできる現象。正しく研げていれば、研いだ面と反対にできます。
もし上手くできていない際はバリは発生しないため、成功しているかどうかの目安にしてください。
確認方法としては指で撫でるようにして刃先を触りますが、怪我しないように刃の腹から巻き込むようにしましょう。
また最後には新聞紙などの粗い紙に刃先を擦り付けてバリを落とします。
バリが落ちてなければ切れ味が下がってしまうため、終わった後には必ず実施しましょう。
また、より詳しい研ぎ方について知りたい方は「【初心者必見】包丁の正しい研ぎ方を紹介!長持ちさせる方法も解説!」をご覧ください。
3.メンテナンスをする
包丁を研ぎ終わったら最後は砥石のメンテナンスです。
メンテナンスを行うことで、包丁を綺麗に研ぐために欠かせない、コンディションの良い平らな砥石をキープすることができます。
まず使用した砥石に鉛筆で適当に書き、水に浸しておいた面直し用の砥石で研いでいきましょう。
研いだ際に鉛筆の線が消えてなければ、その部分が凹んでいる証拠なので、平らになるまで面直し砥石を使って研ぎます。
終わったら水気を拭き取り、使った道具たちを乾かして全ての工程が終了です。
面直し用の砥石6選
ここからは面直し用の砥石について紹介していきます。
今回紹介する商品は以下の通りです。
商品名 | 素材 | 大きさ | 重さ |
---|---|---|---|
砥石面直し キング 砥石 | 黒色炭化シリコン | 180×60×25mm | 500g |
貝印 KAI 面直し用 砥石 | 炭化ケイ素 | 174×59×32mm | 450g |
GOKEI 面直し用砥石 両面2役タイプ ダイヤモンド | ダイヤモンド | 250×70×10mm | 433g |
DMD ダイヤモンド両面砥石 | ダイヤモンド | 254×70×15mm | 40g |
Farfly 砥石面直し | 炭化ケイ素 | 180×60×25mm | 500g |
Doyeemei 砥石 面直し用 | プラスチック | 125×35×16mm | 58g |
では1つずつ見ていきましょう。
砥石面直し キング 砥石
非常にリーズナブルでありながらも、切削力に優れた面直し砥石です。
黒色炭化シリコンと呼ばれる、切削力の高い素材を使っているため、凹んだ砥石であっても充分に研ぐことができます。
また非常に値段が手頃なため、初めて面直し砥石を検討している方にもおすすめです。
素材 | 大きさ | 重さ | ブランド |
---|---|---|---|
黒色炭化シリコン | 180×60×25mm | 500g | FOXHEBKOK |
貝印 KAI 面直し用 砥石
調理器具など幅広い商品を展開している貝印の面直し用砥石です。
多くの包丁用砥石にも使用されている炭化ケイ素が原料のため、充分に硬く使いやすいことが魅力となっています。
軽すぎない重量設計のため、研ぐ際に重心がブレずしっかりと研磨できるのもメリットの1つです。
素材 | 大きさ | 重さ | ブランド |
---|---|---|---|
炭化ケイ素 | 174×59×32mm | 450g | 貝印 |
GOKEI 面直し用砥石 両面2役タイプ ダイヤモンド
2種類の粗さを持つ面が特徴的な本商品は、ダイヤモンド素材を使った面直し砥石です。
ダイヤモンド砥石は、粒度が大きく研磨力が強いため、面直しの砥石としても使われています。
また本商品は異なる粗さの砥石がセットになった両面型のため、砥石の状態によって使い分けができるところが嬉しいポイントです。
面直し砥石をよくお使いになる方は、両面を使い分けられる本商品をぜひチェックしてみてください。
またダイヤモンド砥石について知りたい方は「【2023年】人気のダイヤモンド砥石おすすめ13選!選び方も紹介」をチェックしてみてください。
素材 | 大きさ | 重さ | ブランド |
---|---|---|---|
ダイヤモンド | 250×70×10mm | 433g | GOKEI |
DMD ダイヤモンド両面砥石
高品質のダイヤモンド砥粒を使用した、プロフェッショナルグレードの面直し砥石です。
ダイヤモンドは非常に硬度が高く、優れた切削力を持つため、短時間で効率的に砥石の表面を平らに整えることができます。
また、この砥石は両面使用可能で、粗め(#120)と細め(#180)の2種類の粒度を備えているため、用途に応じて使い分けることができます。
耐久性に優れ、長期間使用しても面直し性能が低下しにくいのも大きな特長です。
素材 | 大きさ | 重さ | ブランド |
---|---|---|---|
ダイヤモンド | 254×70×15mm | 40g | DMD |
Farfly 砥石面直し
シリコンカーバイド(炭化ケイ素)を使用した、高品質な面直し砥石です。
シリコンカーバイドは、優れた切削力と耐久性を兼ね備えた素材で、砥石の表面を効果的に平坦に整えることができます。
この面直し砥石は、#120の粒度を採用しており、比較的粗い砥石の面直しに適した商品。
また、サイズが大きめ(200×63×13mm)なので、大型の砥石の面直しにも対応できます。
リーズナブルな価格設定も魅力の一つです。
素材 | 大きさ | 重さ | ブランド |
---|---|---|---|
炭化ケイ素 | 180×60×25mm | 500g | Farfly |
Doyeemei 砥石 面直し用
アルミナ系の砥粒を使用した、コストパフォーマンスに優れた面直し砥石です。
アルミナ系砥粒は、優れた研削力を持ち、砥石の表面の凹凸を効率的に取り除くことができます。
この面直し砥石は、#400の細かい粒度を採用しているため、仕上げ用の砥石の面直しに最適です。
コンパクトなサイズ(125×35×16mm)で、持ち運びにも便利です。
非常にリーズナブルな価格設定なので、初心者の方にもおすすめできる面直し砥石です。
素材 | 大きさ | 重さ | ブランド |
---|---|---|---|
ダイヤモンド | 125×35×16mm | 58g | Doyeemei |
砥石の使い方の注意点
砥石を使って包丁を研ぐ際には、いくつかの重要な注意点があります。
砥石を適切に使用することで、包丁の切れ味を維持し、長く使用することが可能。
ここでは、砥石を水に浸す時間、包丁の角度、目立て、表面の使い方について、詳しく解説します。
①砥石を水に浸す時間を守る
砥石を使用する前に、必ず水に浸して十分に吸水させる必要があります。
砥石が水を吸収することで、研ぎ屑が流れやすくなり、包丁の刃に適度な潤滑効果を与えます。
一般的に、中砥石で10〜20分、仕上げ砥石で20〜30分程度、水に浸すのが適切です。
ただし、砥石を水に浸しすぎると、表面が軟らかくなりすぎて、かえって研ぎにくくなることがあります。
また、水に浸す時間が短すぎると、十分に吸水せず、刃を傷める可能性があります。
砥石の種類や大きさによって適切な時間は異なるので、経験を積みながら調整していくことが大切です。
②包丁の角度を一定に保つ
包丁を研ぐ際には、刃の角度を一定に保つことが非常に重要です。
刃の角度が一定でないと、刃の形状が歪んだり、切れ味が悪くなったりすることがあるので、一般的に、和包丁は15〜20度、洋包丁は20〜25度程度の角度が適切とされています。
初心者の方は、包丁の角度を一定に保つのが難しいと感じるかもしれません。
そんな時は、市販の研ぎ器を使ったり、包丁の刃を砥石に当てた状態で、砥石の上に置いた硬貨などを目安にしたりすると、角度を保ちやすくなります。
また、包丁を研ぐ際は、手首を固定し、体全体を使って包丁を動かすようにすると、角度が安定します。
③砥石の目立てを行う
砥石を使い込んでいくと、表面が目詰まりを起こし、研ぎ効果が低下します。
これを放置すると、包丁の刃を傷めたり、研ぎに時間がかかったりしてしまうので、定期的に砥石の目立てを行う必要があります。
目立ては、砥石の表面を整える作業です。
具体的には、目立て用の石や砥石を使って、砥石の表面を削り、新しい砥粒を露出させます。
目立ての方法は、砥石の種類によって異なりますが、一般的には、砥石の表面に水をかけ、目立て石を砥石の表面に対して垂直に当てて、円を描くように動かします。
目立ては砥石の寿命を延ばすだけでなく、研ぎ効果を高めることにもつながります。
④砥石の表面を均等に使う
包丁を研ぐ際は、砥石の表面全体を均等に使うように心がけましょう。
同じ場所ばかり使っていると、砥石の表面が凹んでしまい、包丁の刃を歪めたり、研ぎムラを生じたりします。
砥石の表面を均等に使うためには、包丁を前後に動かす際に、砥石の端から端まで包丁を移動させることが大切です。
また、包丁を研ぐ際は、砥石の中央部分だけでなく、左右の端の部分も使うようにしましょう。
ただし、砥石の端の部分は、中央部分に比べて傷みやすいので、注意が必要です。
特に、仕上げ砥石の場合は、端の部分を使いすぎると、表面が剥がれたり、欠けたりすることがあります。
砥石の状態を見ながら、適切に使い分けることが大切です。
砥石の使い方でよくある疑問
ここからは砥石の使い方でよくある疑問を解消していきます。
今回紹介する疑問は以下の通りです。
- 砥石を使うタイミングは?
- 上手く砥石が使えているか確認する方法は?
- 砥石の選び方は?
- シャープナーと砥石どっちが良い?
では1つずつ解消していきましょう。
砥石を使うタイミングは?
砥石は包丁の切れ味が落ちたと感じるタイミングで使うのがベスト。
具体的には、トマトのような柔らかい食材に刃が入らない場合などが挙げられます。
理想は1~2ヶ月に1回の頻度で定期的に研ぐことですが、包丁の使用頻度などによっても異なるため自分の感覚が大切です。
少なくとも「切れ味が落ちた時に研ぐ」というのは覚えておきましょう。
上手く砥石が使えているか確認する方法は?
研ぎ終わった後にバリが出来ているかを確認しましょう。
砥石の使い方部分でも記載しましたが、包丁を正しく研げるとバリと呼ばれる刃が削れて固まったものが発生します。
研ぎ終わりには怪我に気をつけながら刃先を撫で、バリによる引っ掛かりがあるかどうか確認しましょう。
砥石の選び方は?
自分に合った砥石を選ぶには
・番手
・付属品
・製造方法
をそれぞれチェックしてみると良いでしょう。
例えば番手とは、砥石の粒度を表す指標で、数字が大きいほど粒度が細かくなり包丁を磨き上げることが可能です。
ただし番手が大きすぎると、切れ味の落ちた刃を研ぐには粒度が小さすぎるなどの問題が発生するため、自分の包丁に合わせて選ぶことが必要になります。
詳しい選び方やおすすめ商品については「【厳選】包丁向けの砥石おすすめ人気20選!選び方も徹底解説」を合わせてご覧ください。
シャープナーと砥石どっちが良い?
包丁を研ぐのに理想的なのは砥石ですが、忙しく研ぐ時間がない方には、シャープナーがおすすめな場合もあります。
シャープナーとは短時間で包丁を研ぐための研ぎ器で2~3個ある窪みに刃を挟み、引くようにして数十回研ぐだけで終わります。
シャープナーと砥石の違いは以下の通りです。
道具 | 切れ味の持続性 | ダメージの無さ | 研磨時間 |
---|---|---|---|
砥石 | ◯ | ◯ | △ |
シャープナー | △ | △ | ◯ |
先述の通り、シャープナーは短い時間で包丁を研ぐことに適しています。
しかしシャープナーで研磨した刃は先端をえぐっただけに過ぎないので、しばらくするとすぐに切れ味が落ちてしまうことがデメリットです。
またシャープナーを使うと刃こぼれの原因にもなるので、時間はかかりますが砥石を使うほうが良いでしょう。
砥石の使い方をマスターして包丁を長持ちさせよう!
いかがでしたでしょうか。
本記事の要点をまとめると以下の通りです。
- 砥石を使う前には水に10~15分浸す
- 使い終わったら面直し砥石を使ってメンテナンスする
- シャープナーよりも砥石を使った方が包丁をよく研げる
最初は難しく感じてしまうかもしれませんが、ここまでご紹介してきた手順通りに行えば、正しく研ぐことができるでしょう。
大切な包丁を長持ちさせるためにも、ぜひ取り組んでみてください。
また切れ味の高い包丁について興味がある方は「【2022年】高級包丁の人気おすすめ16選!一生ものの選び方も解説」も合わせてご覧ください。
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