有田焼の窯元や工房はたくさんありますが、中でも陶器市や通販などで人気の作家の作品は、個性溢れるデザイン性の高さが魅力です。
本記事では、老舗窯元から個人工房まで、人気・注目の有田焼の作家を紹介します。
ぜひお気に入りの作家を見つける際の参考にしてください。
鮨たかはし 高橋潤
幼少期より料理が好きで、技を極める職人に憧れ、寿司屋を志す。
ミシュラン三ツ星の名店『鮨さいとう』で修行をし、2014年 銀座に『鮨たかはし』開業。
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NHK きょうの料理でレシピ提供をし、バラエティー番組にも出演するほか、誠文堂新光社『すしのサイエンス』を英語、台湾語、韓国、フランス語で出版。
人気作家が作る有田焼の魅力
日本の伝統美を継承しながらも、モダンでおしゃれな作風の陶芸家が増えている有田焼の世界。
人気の作家の作品には、独特の世界観があり、見る人・使う人の気持ちを豊かにし、毎日の生活に彩りを与えてくれます。
また、見た目の美しさだけでなく、手への馴染み具合や口が触れたときの感触、使いやすさなど、実用性も兼ね備えた作家の作品は、作り手の使い手に対する温かい想いが込められた逸品です。
有田焼の老舗窯元の人気作家3選!伝統美&時代を超えるデザイン性の高さが魅力
数ある有田焼の窯元の人気作家さんの中から、由緒ある人気の老舗窯元の作家さんとその作品を紹介します。
まとめると次のとおりです。
No. | 作家名 | 窯元名 | 作品名 |
---|---|---|---|
1 | 井上萬二さん | 井上萬二窯 | 白磁緑釉牡丹彫文紅茶碗 |
2 | 十四代今泉今右衛門さん | 今右衛門窯 | 墨色墨はじき三果文ぐい呑 |
3 | 十五代酒井田柿右衛門さん | 柿右衛門窯 | 濁手 藤文 花器 |
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 井上萬二さん(井上萬二窯)
重要無形文化財保持者(人間国宝)の井上萬二さんは、昭和4年佐賀県有田町生まれの陶芸家です。
20代半ば頃には、14代酒井田柿右衛門さん、奥川忠右衛門さんらに師事し、白磁製作技法を極め続けてきました。
白磁のシンプルさ故の奥深さにこだわり、常に周りから学ぶ精神と姿勢を保ちながら歩んできた井上氏が生み出す作品は、「白磁の究極の美」とも言える純粋な作品が魅力。
現在も、自らが設立した「井上萬治窯」で、井上康徳さん、井上祐希さんと共に、意欲的に作陶を続けている日本を代表する有名な有田焼陶芸家です。
こちらの「【井上萬二作】白磁緑釉牡丹彫文紅茶碗」は、ろくろの名手でもある井上萬二氏が白磁陶石の最高級の陶土を使って成形し、牡丹の文様を彫り込み、釉薬を掛け分けして仕上げられています。
牡丹文様の濃淡ある繊細さが白磁本来の美しさと調和した、井上萬二さんならではの作品です。
2. 十四代今泉今右衛門さん(今右衛門窯)
江戸時代、鍋島藩による幕府や大名への献上品として「色鍋島」が作られていましたが、その御用赤絵師を務めてきた家系が今泉今右衛門家。
「今右衛門窯」は、370年以上「色鍋島」の伝統文化を継承し続けており、2002年に14代に襲名した今右衛門さんは、陶芸分野史上最年少で国の重要無形文化財(人間国宝)に認定されました。
色鍋島の伝統的な技法である「墨はじき」を新たに発展させた「雪花墨はじき」という技法を生み出し、これを用いた作品は、墨で描いた雪の結晶の上にさらに白の濃淡で文様が表現され、幻想的な美しさが見事です。
こちらの「十四代今右衛門作 墨色墨はじき三果文ぐい呑」にも、雪花墨はじきの技法が使われており、赤・黒に少量の緑を配した色彩がモダンな雰囲気。
小さいながらも存在感があるぐい呑みは、色鍋島の気品と手仕事による絵付けの美しさや味わい深さが感じられる作品です。
3. 十五代酒井田柿右衛門さん(柿右衛門窯)
今や、十五代酒井田柿右衛門さんまで受け継がれている「柿右衛門窯」は、1640年代に日本で初めて鮮やかな赤絵の技法を使い、乳白色の余白と色絵のコントラストの美しさを現代に伝え続けている由緒ある窯元です。
「濁り手」と呼ばれる透けるような乳白色の素地の美しさや、大和絵的な花鳥図をモチーフにした明るく華やかな非対称の構図が特徴的で、「柿右衛門様式」として有田焼のスタイルを確立しました。
ヨーロッパ磁器界の名窯「マイセン」も、柿右衛門様式を模倣した作品を多く作っており、ヨーロッパ文化にも多大な影響を与えました。
豊かな余白の中に、赤・黄・緑・青・紫・金などが繊細にあしらわれた色絵磁器は、華やかさの中にも日本的な風情が感じられ、世界中の人々を魅了しています。
こちらの十五代酒井田柿右衛門さんによる「濁手 藤文 花器」は、伝統的な鮮やかな色絵が美しい作品。
気品ある色彩と優美な藤の花は、平安時代に文様として完成し、家紋や衣装などに用いられ親しまれてきました。
美しい乳白色の「濁手」に描かれた流れるような藤の文様は、繊細で優美な日本らしさが感じられ、くびれのある曲線のフォルムが魅力的です。
有田焼の注目・人気作家5選!個性的でモダンなデザインが素敵
ここからは、モダンで個性的な有田焼の作品づくりで注目される、人気の作家さんを5選紹介していきます。
まとめると次のとおりです。
No. | 作家名 | 窯元名 | 作品名 |
---|---|---|---|
1 | 二代真右エ門 馬場九洲夫さん | 真右エ門窯 | 丸コーヒーカップ 燿変辰砂 |
2 | 藤井錦彩さん | 錦彩窯 | 染錦金彩・白金彩 富士山図 |
3 | 中原真希さん | 陶磁工房一朶 | カラーシリーズ/マグS・フラットプレートセット |
4 | 斎藤幸代さん | ‐ | 12面蓮紋皿 薄瑠璃 |
5 | 水谷和音さん | ‐ | 変形小皿 灰釉 |
1. 二代真右エ門 馬場九洲夫さん(真右エ門窯)
昭和47年、初代真右エ門氏(真一郎)によって作られた真右エ門窯の2代目馬場九洲夫さんは、ルビー色の辰砂や結晶釉などの窯変釉を扱うことを得意とし、「造りの冴え、釉の妙」をキャッチフレーズとして作品づくりに取り組んでいる陶芸家です。
馬場九洲夫さんの大きな特徴は、美しいルビー色の「辰砂」を匠に扱った作品でしょう。
辰砂は、銅を着色材としてふくむ赤い釉薬で、淡いものから濃いものまでさまざまなものがありますが、真右エ門窯ではこってりとした濃厚な色彩を目指しています。
こちらの作品「丸コーヒーカップ 燿変辰砂」は、上質な素材に辰砂の技法を用い、艶やかで美しい特別感のある逸品です。
何とも言えない奥深いルビー色と丸みを帯びたシンプルなフォルムが魅力的。
格調ある特別感は、赤を使ってお祝いをする「還暦」の贈り物にもおすすめです。
2. 藤井錦彩さん(錦彩窯)
藤井錦彩さんは、1976年佐賀県有田市に生まれ、井上萬ニ氏、梶原茂正氏、照井一玄氏などに師事し、有田焼の伝統を受け継ぎながら、着実に自分のスタイルを追求し続けている注目の陶芸家です。
藤井錦彩さんの魅力は、金彩やプラチナの銀で彩った煌びやかな錦絵でしょう。
有田焼伝統の手づくり・手描きの心に、モダンな感覚を見事に融合させた作品は、世界的にも高く評価されており、世界最大の博物館の1つである「大英博物館」にも収蔵されています。
絢爛なこちらのワイングラスは「染錦金彩・白金彩 富士山図」。
吉祥の象徴である富士山・桜が、プラチナと金彩で艶やかに表現され、藤井氏の美意識ならではの見事な作品です。
内側は、空気の空間が広くとられ、お酒の香りを逃さず充分に堪能することができるため、ワインだけでなく日本酒も美味しく愉しめるでしょう。
3. 中原真希さん
長崎県生まれの中原真希さんは、インテリアデザイン事務所勤務後、佐賀県有田町や愛知県瀬戸市で陶磁器を学び、有田の「岳窯」照井一玄氏に師事した後、現在は、長崎に自らの「陶磁工房一朶」を開窯しています。
シンプルスでタイリッシュな無駄のない作風は、モダンな上品さがあり、星野リゾートホテル「界 雲仙」の客室の茶器にも採用されています。
こちらの「カラーシリーズ/マグS・フラットプレートセット」は、味わいのあるグリーンが魅力的なシンプルで使いやすい作品です。
カップとプレートは、カップ&ソーサーとして、またプレートをケーキ皿、スイーツ皿として使用することもでき、便利なサイズ感。
カラーは淡い色合いのライトブルーもあり、使うシーンや好みに合わせて選ぶことができます。
4. 斎藤幸代
斎藤幸代さんは、有田窯業大学で学び佐藤走波氏に弟子入りした後、淡路島で独立した陶芸家です。
斎藤さんの特徴は、「型打ち」と呼ばれる技法にあります。
生乾きの素地を方にかぶせて変形させることで、八角や輪花などの非円形を型どったり、浮き出たような模様を作り出すことで、独特な味わいのある作品を作り出しています。
楕円形・六角・八角・四角・菱形など、さまざまな形とそれぞれの表情を持った個性的な豆皿は特に人気があり、草木や花が凹凸で表現された様は、繊細な可愛らしさが魅力的です。
こちらの作品は「12面蓮紋皿 薄瑠璃」。
12面に蓮の花弁、蓮の葉、蓮の蕾などの文様が型打ちされた優しい雰囲気が魅力的です。
瑠璃の濃淡のある色彩も美しく、取り分け皿や菓子皿、和・洋どんな料理にも調和し、食卓に柔らかな趣を与えてくれるでしょう。
5. 水谷和音さん
1988年熊本県八代市生まれの水谷和音さんは、有田焼にも用いられる天草磁器土を用いており、乳白色の「灰釉」と、古くから有田焼などで使われてきた「瑠璃釉」の2色の釉薬を使って作品づくりをしています。
有田陶器市にも出展しており、可愛らしく華やかさのある作風は、伝統的な素材・技法に水谷氏の感性がうまく溶け合い、モダンでナチュラルな雰囲気が魅力となっています。
シチュエーションを選ばずに使える、暮らしに寄り添った作品が楽しめます。
こちらの「変形小皿」は、植物の灰を調合して作られた「灰釉」の味わいある乳白色に、雲のようなフォルムがキュートな作品です。
釉薬の掛け具合を調節することで、ほんのりと彩られた縁の茶色がアクセントとなり、手づくりの温かみを感じられる一枚。
食器としてだけでなく、指輪やイヤリングなどのアクセサリートレーとしてもおしゃれに使えるでしょう。
有田焼のお気に入り作家を見つけてもっと器を楽しみましょう!
いかがでしたか?
有田焼の人気作家とその個性的で魅力あふれる作品を紹介しました。
本記事のポイントをまとめると次のとおりです。
- 有田焼の人気作家の作品は、日本の伝統とそれぞれの魅力的な個性が楽しめる
- 有田焼の老舗窯元の人気作家は、人間国宝の「井上萬二さん」・「十四代今泉今右衛門さん」など
- 注目したい有田焼の人気作家は、「二代真右エ門 馬場九洲夫さん」・「藤井錦彩さん」など
有田焼には、日本の伝統を大切にしながら、それぞれの個性的な感性を活かして素敵な作品づくりをしている人気のある作家さんがたくさんいます。
ぜひ本記事を参考にお気に入りの作家さんを見つけてみてくださいね!
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