包丁は、使い続けるうちにだんだん切れが悪くなってきますが、どのタイミングで寿命だと判断すべきなのかよくわかりませんよね。
本記事では、その見極め方や長く愛用するためのお手入れの仕方などをご紹介します。
包丁の買い替えを考えている方は、参考にしてみてください。
1962年、神奈川生まれ。高級割烹料亭で和食料理を中心に、料理の腕を磨く。
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その後、麻布「光仙」の料理長として活躍。現在は赤坂の隠れ家、高級料亭「紫芳庵(しほうあん)」で総料理長を務める。四季折々の和食を通じ、日本文化を国内外の富裕層に体験として届けている。
包丁の寿命は?何年で買い替えるべき?
包丁の寿命は、さまざまな条件により異なってくるため、一概に数字で表せないのが実際のところです。
5年も持たない場合もあれば、数十年と長く使い続けることができる場合もあります。
例えば、一般家庭で使われる包丁とプロの料理人が使う包丁では、研ぐ頻度の影響などから、その寿命にかなりの差がでてきます。
要するに、使う人や環境、お手入れの仕方などで、包丁の寿命が長くも短くもなるということです。
次の項目で、包丁の寿命を左右するさまざまな要因を見てみましょう。
包丁の寿命を左右する要因
包丁の寿命を左右する、主な要因をまとめると次のとおりです。
- 使用頻度・刃研ぎの頻度
- 包丁の構造
- 包丁の質
- お手入れ
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 使用頻度・刃研ぎの頻度
先にもお伝えしましたが、一般家庭とプロの現場では、包丁の寿命に大きな差が出てきます。
それは、プロの現場では、一般家庭と比較して、使用時間や研ぐ頻度が格段に高いためです。
1年経たずして刃が小さくすり減ってしまうほどで、短期間での買い替えが必要になってきます。
一方、それほど研ぐ回数が多くなく、刃の減りが少ない一般家庭では、使い方次第で50年近く使い続けることも可能です。
このことから、包丁は、使用頻度が高ければ高いほど、切れ味の維持のための刃研ぎの回数も増えるため、刃減りが早くなるということが言えるでしょう。
2. 包丁の構造
包丁には、「本焼き包丁」と「合わせ包丁」の2種類の構造があります。
- 本焼き包丁:刃が鋼のみでつくられている包丁
- 合わせ包丁:刃先が鋼、それ以外は軟鉄やステンレスでつくられている包丁
また、合わせ包丁の中でも「三枚合わせ」と「割り込み」の2種類があり、特徴が異なってきます。
本焼き包丁、合わせ包丁の2種の特徴をまとめると次のとおりです。
本焼き包丁 | 研ぎにより、刃がなくなるまで使い続けることができる | |
合わせ包丁 | 三枚合わせ | 鋼が峰まであるため、刃がなくなるまで使い続けることができる |
---|---|---|
割り込み | 鋼が半分までしか入っていないため、比較的早く刃がなくなってしまう |
本焼き包丁は、研ぐ技術が必要になりますが、研いで刃が無くなるまで使い続けることができ、刃が研げなくなった時が寿命です。
ところが、合わせ包丁の中には、そうはいかない種類のものがあります。
合わせ包丁の中でも、「三枚合わせ」ならば、鋼が峰まであるので最後まで使い続けることができますが、「割り込み」は鋼が半分までしか入っていないため、研ぎ進めていくと他の構造のものよりも早く刃が付かなくなり、寿命が短くなります。
3. 包丁の質
包丁の品質によっても、当然のごとく寿命が異なってきます。
基本的には、包丁はその品質により価格が決まってくることが多いため、高価な包丁ほど寿命の長い包丁と言っても過言ではありません。
1本の包丁を長く愛用したいと考えているなら、低価格で品質の低い包丁を安易に選ぶのは避けましょう。
低品質の包丁は、すぐに切れなくなったり、刃が欠けたりと短命であることが多いです。
低価格なものを買い替えながら使用していくのも1つの方法ですが、調理道具は、大切にお手入れしながら長くお付き合いしていくことで、手に馴染んでくるものです。
包丁を選ぶ際には、しっかりと品質を見極めて、長く愛用できるものを選ぶようにしましょう。
4. お手入れ
包丁は、正しくお手入れをすることで長く愛用できるアイテムです。
プロが愛用する鋼の包丁、家庭用として主流のステンレス製の包丁など、素材もさまざまですが、それぞれに合ったメンテナンスを行うことで、包丁の寿命を長く延ばすことができます。
刃の材質別にお手入れの特徴をまとめると次のとおりです。
ステンレス | ・頻繁な研ぎが必要ない ・日頃のお手入れをこまめに行い、丁寧に扱えば10年以上使用できる ・お手入れを手軽に済ませたい人におすすめ |
鋼 | ・錆びやすく、こまめなお手入れと頻繁な研ぎが必要 ・研ぎの技術があり、切れ味を重視するプロにおすすめ |
セラミック | ・錆びることがなく、日頃のお手入れは洗うだけで充分 ・切れ味が衰えにくく、研ぎもほぼ必要ない ・刃こぼれしやすいので扱いに注意が必要 ・お手入れが苦手な人におすすめ |
また、「柄」を傷めないようにお手入れすることも大変重要です。
特に、柄の劣化や刃の錆びにつながる水分は、包丁にとっては大敵。
使用後の包丁は水に漬けずに速やかに洗って、乾燥させましょう。
包丁の寿命の見極め
包丁は使い続けるうちに切れ味が衰えたり、刃が欠けたり割れたりということも起こってきます。
そうした時に、寿命だと感じる人も少なくないでしょう。
しかし、切れ味は研げば復活しますし、刃こぼれも、よほど酷いものでない限りはメンテナンスすれば修繕が可能です。
包丁の寿命の鍵を握っているのは、実は「柄のがたつき」です。
包丁の柄ががたついてきたと感じたら、大きな事故になりかねないため、すぐに使用を中止して包丁を取り替えましょう。
また、人によっては、お気に入りの包丁を刃がなくなるまで使い続ける人もいれば、シルエットが変化してきた段階で買い替える人もいます。
要するに、包丁の寿命は、危険を伴う状態になった時、または、使う人自身が心地よく使えなくなった時が寿命と言ってもよいでしょう。
包丁の寿命を長くするコツ
包丁は、正しいお手入れと定期的なメンテナンスを心がけることで、長く愛用できるアイテムです。
調理後のお手入れ
まず、調理の際には、布巾でこまめに水分をふき取りながら作業することをおすすめします。
使用後は、中性洗剤を使って汚れをきれいに洗い落とし、清潔にしておきましょう。
仕上げに、熱湯をかけて乾いた布巾で水分をしっかりと拭きあげておくのがよいでしょう。
包丁の研ぎ方
包丁は、使い続けるうちに切れ味が衰えてきますが、正しい研ぎを行うことで、再び切れ味のよさを復活させることができます。
研ぎ方の手順を見てみましょう。
手順
- 気泡が出なくなるまで、砥石を水に浸しておく
- 砥石を砥石台(濡れタオルでもOK)に置き、利き手で包丁の柄を持ち、砥石に対して45度の角度であてる
- 包丁の峰を砥石に対して15度ほど持ち上げ、空いている手で研ぎたい箇所を軽く押さえて、前後に動かして研ぎ始める
- 前に押す時にはやや力を入れ、戻す時には力を抜くようにする
- ある程度研ぐと、研いだ方の反対側にバリ(細い糸のような引っ掛かり)が出てくる
- 刃全体にバリが出たら表の研ぎは完成
- 包丁を返して、裏面も同じように研ぐ
- 最後に出たバリは、砥石で軽く擦って取り除く
シャープナーとは?
シャープナーは、砥石よりも手軽に包丁の切れ味を復活させることができる、簡易的なアイテムです。
刃先を研ぐ、というよりは、刃先を傷つけることで食材への切り込みをよくしますが、あくまでも一時的な応急処置として考えておくのがよいでしょう。
シャープナーと研ぎ石の大きな違いは「切れ味の持続性」です。
シャープナーで研いだ場合には、切れ味の持続性が低く、すぐに切れなくなってしまいます。
また、シャープナーで研いだ刃は表面がえぐられるため、刃先の強度が落ちて、割れや欠けの原因になってしまうこともあります。
こうしたことから、シャープナーは、手軽に切れ味を復活できる便利なアイテムですが、調理中にすぐに切れ味を復活させたい時にのみ、使用することをおすすめします。
包丁を長く使いたいのであれば、やはり砥石を使って研ぐようにしましょう。
包丁の寿命を伸ばすポイント
包丁は、適切なメンテナンスを行うことで、長く使い続けることができます。
ここでは、包丁の寿命を伸ばすためのポイントとして、研ぎすぎに注意すること、刃こぼれを防ぐこと、硬い素材の包丁を選ぶことを解説します。
研ぎすぎはよくない
包丁を研ぐことは、切れ味を維持するために重要ですが、研ぎすぎには注意が必要です。
頻繁に研ぎを行うと、刃の摩耗が早まり、包丁の寿命が短くなってしまいます。
目安としては、包丁の種類や使用頻度にもよりますが、1〜3ヶ月に1回程度の研ぎが適当です。
また、砥石の選択も重要で、包丁の素材や用途に合ったものを使用しましょう。
研ぎすぎを避け、適切な頻度と方法で研ぐことが、包丁の寿命を延ばすカギとなります。
刃こぼれしないようにする
刃こぼれは、包丁の切れ味を大きく低下させ、寿命を縮める原因となります。
刃こぼれを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。
まず、包丁を使用する際は、まな板の上で切るようにし、硬い表面や骨などに直接当てないようにします。
また、包丁同士を重ねて保管することは避け、専用の包丁スタンドや布などを使って個別に保管しましょう。
さらに、使用後は洗剤で洗い、水分をしっかり拭き取って乾燥させることが大切です。
錆びや汚れが付着したまま保管すると、刃こぼれの原因となりやすく、これらの点に気をつけることで、刃こぼれを防ぎ、包丁の寿命を延ばすことができるでしょう。
硬い素材の包丁を選ぶ
包丁の素材は、切れ味や耐久性に大きな影響を与えます。
硬い素材の包丁を選ぶことで、刃こぼれや摩耗を防ぎ、包丁の寿命を延ばすことも。
高品質な日本製鋼材、特に白紙鋼や青紙鋼などの高炭素鋼は、硬度が高く、優れた切れ味と耐久性を兼ね備えています。
これらの素材は錆びやすいという特性がありますが、適切なメンテナンスを行うことで、長年にわたって高い性能を維持しやすいです。
一方、ステンレス鋼は錆びにくく、メンテナンスが容易ですが、硬度や切れ味の面では高炭素鋼に及ばない場合があります。
用途や好みに合わせて、硬い素材の包丁を選ぶことが、包丁を長く使い続けるためのポイントと言えるでしょう。
包丁はどこで買うのがおすすめ?
野菜を切るのならば薄刃包丁や菜切り包丁、魚を捌くのであれば出刃包丁、包丁を買うときは、それぞれの用途に合わせて選ぶことがポイントです。
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いかがでしたか?
包丁の寿命の見極め方や、その寿命を延ばすコツなどをご紹介してきました。
本記事の要点をまとめると次のとおりです。
- 包丁の寿命は、一概に数字で表すことはできない
- 寿命を左右する条件は「使用頻度・刃研ぎの頻度」「包丁の構造」「包丁の質」「お手入れ」の4つ
- 危険を伴う状態になった時、使う人自身が心地よく使えなくなった時が寿命
- こまめにお手入れすることで寿命を延ばすことができる
包丁は、上質なものを選んでしっかりとお手入れやメンテナンスをすれば、何十年と愛用できる寿命の長いアイテムです。
また、包丁の寿命を決めるのは、使う人次第。
ぜひ本記事を参考にして、お手入れの度合いやコストの面など、自分に合ったお気に入りの包丁を見つけて長く愛用してくださいね!
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