「包丁の材質について詳しく知りたい」と考えていませんか?
包丁の材質には様々な種類があるため、どれを選べばよいかわかりませんよね。
そこで本記事では包丁の材質について、押さえるべきポイントから各材質の特徴について紹介しました。
鋼やステンレスに関しては、より詳しい分け方もしているため、ぜひ最後までご覧ください。
鮨由う 尾崎 淳 大将
19歳の時に和食と出会い、23歳の時ミシュラン一つ星の『鎌倉以ず美』で鮨の奥深さを知り、鮨かねさか、神楽坂鮨りんで修業を重ねる。
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2016年12月、六本木に『鮨由う』をオープンし、オープン初年度にミシュラン一つ星を獲得。
技術と斬新さを追求しながら若手の育成にも力を入れ、若手が寿司を握るイベントを定期的に行っている。
TBS『ジョブチューン』を初め多くのメディアに出演。
包丁の材質でおさえるポイント
まず包丁の材質を見ていくうえで、押さえるべきポイントを知っておきましょう。
今回紹介するのは以下の通りです。
- 硬度
- 耐摩耗性
- 靭性
- 耐食性
ではそれぞれ見ていきましょう。
硬度
硬度は刃の硬さを表すもので、切れ味に大きな影響を与える指標の1つです。
刃が硬ければ硬いほど切れ味が鋭くなります。また、摩耗しにくくなるため、切れ味が長続きすることもメリット。
一方で、硬すぎると刃こぼれしやすいことや研ぎにくいといったデメリットもあります。
硬度は、HRCと呼ばれる指標で表され、数値が高いほど硬い素材であることを指しており、具体的には一般的なステンレス包丁だとHRC58ほどで表され、硬い包丁だとHRCが65~67といった指標になります。
耐摩耗性
耐摩耗性は、その名の通り摩耗に対する耐久力を表しています。
耐摩耗性が高いほど、包丁を研ぐ頻度が少なくても使い続けられるというメリットがあります。
炭素やクロムの量によって変化する耐摩耗性は、一般的には硬度が上がれば上がるほど比例して高まります。
靭性
粘り強さを意味する靭性は、長く使えるかどうかや刃こぼれしにくいかどうかなど、包丁自体の耐久力を差しています。
靭性が高ければ高いほど衝撃に強い包丁と言えますが、一方で刃の硬さを表す硬度が低くなることも特徴的です。
言い換えれば包丁の耐久力と刃の硬さは、どちらかが高まれば一方が低くなる関係性となっています。
耐食性
耐食性とは錆びにくさを表す指標です。
耐食性の高い包丁は、錆に強いため長く使い続けられることはもちろん、手入れが楽になるメリットもあります。
特に包丁は水回りで使用するもののため、家庭用の包丁をお探しの方は特に耐食性を重視してみてはいかがでしょうか。
また耐食性と似た言葉として耐久性がありますが、包丁における耐久性は刃こぼれのしにくさなどを指す場合が多く、本記事だと靭性にあたります。
刃渡り | 165mm |
---|---|
材質 | 鋼:青砥2号 柄:チェリー八角 |
商品情報 | 大正9年、刃物および農具の鍛冶屋として八ヶ岳の麓にて創業した『定正』。 100年を超える長い歴史と経験を現在の職人が引き継ぎ、昔ながらの手法で作り上げているのが新たなブランドとなる『祐和』シリーズの包丁です。 伝統的な技術と最新の鋼材を組み合わせ、使い易さと耐久性を両立しており、鋭く、切れ味も抜群。 また、チェリーの八角柄は手に馴染み、持つだけで料理へのワクワク感を引き立てます。 |
刃渡り | 150mm |
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材質 | 鋼:青砥2号 柄:チェリー八角 |
商品情報 | 大正9年、刃物および農具の鍛冶屋として八ヶ岳の麓にて創業した『定正』。 100年を超える長い歴史と経験を現在の職人が引き継ぎ、昔ながらの手法で作り上げているのが新たなブランドとなる『祐和』シリーズの包丁です。 伝統的な技術と最新の鋼材を組み合わせ、使い易さと耐久性を両立しており、鋭く、切れ味も抜群。 また、チェリーの八角柄は手に馴染み、持つだけで料理へのワクワク感を引き立てます。 |
包丁の材質
ここからは包丁の材質の特徴を紹介していきます。
今回紹介するのは以下の通りです。
- 鋼
- ステンレス鋼
- セラミック
- ダマスカス鋼
- チタン
- 複合材
ではそれぞれ解説していきます。
1.鋼
鋼素材の包丁は、硬度の高いアイテムが多いのが特徴。
切れ味の良さを重視する方におすすめの包丁です。
主に、和包丁の刃に使われることが多い鋼は、鉄に炭素を加えた炭素鋼が一般的で、現在ある材質の中では唯一焼入れを行う材質です。
焼入れとは包丁の刃を高温で熱した後に冷水で急激に冷やす行為で、これにより刃が硬くて鋭い材質へと変化します。
ただ、硬度が高い鋼は切れ味が鋭い一方、粘り強さを表す靭性が低いため刃が欠けやすいなどのデメリットもあります。
また鋼は耐食性も低いため、錆に弱くこまめな手入れが必要です。職人やプロ向けの材質と言えるでしょう。
2.ステンレス鋼
ステンレス鋼は、家庭用包丁のほとんどに採用されている材質。
手入れがしやすい材質のため、万人に扱いやすく、人気も非常に高いのが特徴です。
ステンレス鋼とは鉄にクロムを含めた合金のことで、クロム自体が耐食性に優れているため錆に強く、靭性も高い材質となっています。
硬度自体は鋼包丁に劣りますが、手入れのしやすさは抜群。
そのためプロはもちろん、家庭での使用を検討している方にも向いています。
また後に詳しく紹介しますが、ステンレス鋼にも様々な種類があり、中には一部の鋼包丁と同等の切れ味を持つ材質もあるため、切れ味も耐食性も取りたい方はぜひチェックしてみてください。
ステンレス包丁をより詳しく知りたい方は「ステンレス包丁のおすすめ人気17選!お手入れや研ぎ方もご紹介」をご覧ください。
3.セラミック
セラミック素材は金属ではないため、錆びる心配がありません。
食洗器で洗えるのも魅力の1つで、手入れをとことん楽にしたい方におすすめです。
また耐摩耗性が高いため、刀持ちが良くほとんど研がずとも使い続けられることもメリットの1つ。
ただ硬度が高すぎるため、靭性が低く刃こぼれしやすいことが欠点として挙げられます。
さらには、研磨する場合に通常の砥石では刃が硬すぎて研げないため、ダイヤモンド砥石を使う必要がある点などもデメリットと言えます。
4.ダマスカス鋼
刃に波紋のような美しい柄を持つダマスカス鋼は、デザイン性の高い素材です。
ダマスカス鋼は、様々な種類の鋼を重ねて作られていることから特徴的な紋様を持っています。
またデザイン性の高さ以外にも、芯材の性能に依存するといった点もダマスカス鋼の大きなポイントの1つです。
ダマスカス鋼を使った包丁は、全く別の材質である芯材をダマスカス鋼で挟み込んで出来ているため、芯材の硬度などにより、包丁自体の切れ味が変わってきます。
「ダマスカス鋼は切れ味が良い」と言われることが多いですが、実際には芯材に使われている材質が切れ味の良いものが多いことが理由です。
そのため、同じダマスカス鋼の包丁でも、それぞれ使用感が違う可能性があるので気をつけましょう。
切れ味や耐久力だけでなく、デザインや美しさにまでこだわりたい方は検討してみてはいかがでしょうか。
ダマスカス鋼について知りたい方は「ダマスカス鋼とは?魅力的なダマスカス包丁のおすすめ7選もご紹介!」もご覧ください。
5.チタン
チタン素材のメリットは、硬度が高く、耐摩耗性に優れていること。
また、クロムやニッケルを含んでいないため、金属アレルギーやニオイ移りの心配がない点も魅力です。
幅広い点において使い勝手が良くメリットが多いですが、切れ味が他材質に比べて劣るというデメリットもあります。
しかし、錆に強く軽量であるため家庭用にはおすすめの材質。
細かい素材によって変わりますが、使い勝手を優先する方にはステンレス包丁よりも向いているでしょう。
6.複合材
複合材とは、複数の素材を組み合わせて作られたものです。
複合素材のメリットは、各素材の良い点を合わせもつこと。
最もバランスに優れた素材と言えます。
例えば鋼とステンレス鋼を合わせ持つ複合材であれば、鋼の高い切れ味とステンレス鋼の錆に強い性質をどちらも持っている包丁となることがメリットです。
ただ鋼が使われている部分は錆に弱いことは変わりないため、今回の場合、刃先が鋼であれば刃先の手入れは入念にする必要があります。
鋼包丁の詳しい材質
ここからは鋼包丁の詳しい材質について見ていきましょう。
今回紹介するのは以下の通りです。
- SK材
- 黄紙
- 白紙
- 青紙
- SLD鋼(粉末ダイス鋼)
それでは見ていきましょう。
SK材
SK材とはSteel(鋼)とKougu(工具)の頭文字から名付けられた素材です。
鋼素材の中では、非常に研ぎやすく、靭性も高い材質。
SK材は、比較的リーズナブルな価格で取引されるため、家庭用包丁によく使われています。
SK◯◯といった形で◯には数字が表記され、数字が高くなるほど硬度も高くなっており、HRC59以上のSK85が多いです。
ステンレス鋼はHRC56~58が多いため、ステンレス鋼よりは高い硬度、切れ味を持つと言えます。
ただここから紹介する鋼素材に比べると切れ味に劣る点はデメリットの1つです。
とは言えリーズナブルな鋼素材を探している方にはSK材は向いています。
黄紙
黄紙は、SK材をより純度の高い状態にしたもので、こちらもリーズナブルな価格が魅力的な材質。
料理学校のように包丁を大量に何度も使用する場で主に用いられるほか、家庭用としても人気があります。
また後に紹介する白紙、青紙などと区別するために黄色い紙を貼ったことから、黄紙と呼ばれるようになりました。
他にも黄鋼、黄紙鋼、安来黄鋼など様々な呼び方がされています。
白紙
白紙は、黄紙から不純物をさらに取り除くことで生まれた材質で、非常に純度が高く、切れ味と研ぎやすいという特徴があります。
「家庭用包丁の中でも最高級の切れ味を持つものが良い」方や「プロ用の初めての一本」を考えている方に向いている材質です。
白紙には1~3号の区別があり、数字が小さくなるにつれて炭素量が多くなり、硬度が増すようになっています。
ただ白紙とだけ記載している包丁もあり、その場合は最も炭素の含有量が少なく靭性に優れた白紙3号を使用していることが多いです。
また白紙も白鋼、白紙鋼、安来鋼白鋼など様々な呼び方がされており、黄紙同様に他素材と区別するために白い紙が貼られたことで白紙と呼ばれるようになりました。
青紙
青紙は白紙2号にタングステンやクロムを添付した材質で、耐摩耗性と切れ味が非常に優れているのが特徴。
ただ硬度が高すぎて、やや研ぎにくいため、職人向けの材質となっています。
青紙にも白紙と同じように炭素の少ない方から2号・1号・スーパーと階級分けされており、スーパーだとHRC67ほどの硬度を持つものもあることが特徴です。
SK材のHRCが59以上のため、青紙スーパーのHRC67が非常に高い切れ味を持つということを分かっていただけるでしょう。
また高い切れ味を持ちつつも、耐摩耗性に優れているため切れ味が長続きする点が非常に魅力的です。
青紙も青紙鋼、青鋼、安来青鋼などの呼び名があり、他材質と比較のために青い紙を付けられたことが名前の理由です。
SLD鋼(粉末ダイス鋼)
日立金属工具鋼が製造しており、粉末ダイス鋼とも呼ばれている素材です。
SLD鋼の特徴は、モリブデン・バナジウムが添付されていること。
これにより、耐食性や耐摩耗性が高まり、錆に強く切れ味が長持ちします。
一般的に鋼包丁は錆びやすいことがデメリットとして挙げられますが、他の鋼素材に比べると使い勝手の良さがメリットです。
「鋼素材の中でも錆に強い包丁が良い」と考えている方には向いています。
ステンレス包丁の詳しい材質
次にステンレス包丁に使われている材質について、詳しく見ていきましょう。
今回紹介するのは以下の通りです。
- モリブデン・バナジウム
- 粉末鋼(粉末ハイス)
- コバルト合金鋼
- スウェーデン鋼
- ハイカーボンステンレス
ではそれぞれ解説していきます。
モリブデン・バナジウム
モリブデン・バナジウムは、家庭向けステンレス包丁に多く使用されている材質。
包丁の耐摩耗性や耐食性を向上させてくれます。
厳密にはモリブデンが耐摩耗性や耐食性を高め、バナジウムが耐摩耗性をより高め切れ味を長持ちさせますが、多くの場合はモリブデン・バナジウムと合わせて含まれている場合が多いです。
靭性も高まり粘り強い刃となるモリブデン・バナジウムは、リーズナブルな包丁にも含まれていることが多いため家庭用包丁をお探しの方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。
粉末ハイス鋼(粉末鋼)
粉末ハイス鋼は、硬度と耐摩耗性の高さが特徴の材質。
切れ味の高さと持続性の両方に優れています。
そもそもハイス鋼とは切削工具に使われていた金属で、硬さを高めるために耐摩耗性や硬度を高めるモリブデンやタングステンを多く含んでいます。
そのハイス鋼を粉末冶金法によって生み出したものが粉末ハイス鋼です。
粉末冶金法とは、型に粉末状の素材を入れて熱し固めることで、より強固な材質に仕上げる方法のこと。
反対の製法として、一般的に用いられる素材をそのまま熱して変形させ、固める溶解もありますが、一度粉末状にして細かくした粉末冶金法の方が緻密な素材が完成します。
まとめると、通常のステンレス鋼にモリブデンやタングステンを加え耐摩耗性や硬度を高めたうえで、粉末冶金法を使い密度の高い材質へと仕上げられたのが粉末ハイス鋼です。
モリブデン・バナジウムのみの包丁よりも硬度や耐摩耗性に優れた商品をお探しの方には、粉末ハイスが向いているでしょう。
コバルト合金鋼
コバルト合金鋼は、ステンレス鋼にコバルトを添付した素材です。
希少価値の高いコバルトは、非常に純度が高いため、硬く靭性に優れています。
武生特殊鋼株式会社によって開発され、最高峰のステンレス鋼材とも言われるV10金号もコバルトにあたります。
「鋭い切れ味を長く使い続けられる高品質なステンレス材質が良い」とお考えならコバルト合金鋼がおすすめです。
スウェーデン鋼
スウェーデンで製造された鋼の総称にあたるのが、スウェーデン鋼です。
総称ではあるものの、スウェーデン鋼自体が他の鋼に比べて不純物が少ないという特徴があります。
また細かく分けられており、その数は1,000種類以上あることも特徴の1つです。
不純物が少ないため、硬く切れ味が優れている包丁をお求めの方は検討してみてはいかがでしょうか。
ハイカーボンステンレス
カーボン(炭素)を多く含んだハイカーボンステンレスは、硬度が高く切れ味に優れていることが魅力です。
他にも高炭素ステンレス鋼という名称で呼ばれることもあります。
しかしハイカーボンステンレスと一口に言っても、炭素量◯%以上などの規定がないため、紛らわしく判断が難しいものとされていることも特徴の1つです。
ステンレス包丁の中でも切れ味が良い包丁を探している方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
銀三鋼
鋼に近い材質である銀三鋼は、ステンレス鋼の多くに含まれるモリブデンやタングステンが入っていない素材です。
モリブデンなどが含まれていないことから耐摩耗性や耐食性では劣りますが、その分研ぎやすい刃に仕上がるのが特徴です。
またHRC60と、通常のステンレス鋼のHRC56~58よりも高いことから切れ味の高さも兼ね備えた材質です。
実際に鋼素材に近い構造をしていることから、鋼包丁のようにスパッとした切れ味を持つと評価する声も多く見られます。
研ぎやすいステンレス包丁をお探しの方には銀三鋼がおすすめです。
包丁はどこで買うのがおすすめ?
野菜を切るのならば薄刃包丁や菜切り包丁、魚を捌くのであれば出刃包丁、包丁を買うときは、それぞれの用途に合わせて選ぶことがポイントです。
KOHNOは、創業140年以上の歴史が紡ぐ確かな目利と、あらゆる種類や分類の包丁が揃っているので、用途に合わせて選ぶことが出来ます。
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いかがでしたでしょうか。
本記事の要点をまとめると以下の通りです。
- 硬度・耐摩耗性・靭性・耐食性の4つから材質の違いを見ると良い
- 切れ味なら鋼、耐食性や靭性ならステンレス鋼がおすすめ
- 鋼やステンレス鋼の中にも細かく分類されている
ご紹介してきた通り、使われている材質によって、出来る料理の幅やお手入れの難易度は大きく変わってきます。
包丁選びで後悔しないためにも、必ずチェックするようにしましょう。
また高級包丁について知りたい方は「【2022年】高級包丁の人気おすすめ16選!一生ものの選び方も解説」を合わせてご覧ください。
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