チラーの定期点検が義務化?点検項目や点検頻度・メリットなども解説
この記事を読んでいる方の中には、水風呂のチラーを導入してある程度期間が経った方が多いのではないでしょうか。
チラーは定期的に点検を行う必要があり、怠るとさまざまなリスクがあります。
そこでこの記事では、チラーの定期点検について解説していきます。
さらには、定期点検の頻度や定期点検を行うメリットについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
チラーとは
サウナの水風呂に使用するチラーは、水を効率的に冷却して一定の低温を維持するための装置です。
チラーは主に以下の部品で構成されています。
POINT
チラーの構造
・圧縮機
・凝縮器
・膨張弁
・蒸発器
これらの部品を使用して、冷媒を循環させることで水を冷却します。
冷媒が蒸発する際に周囲から熱を奪い、水温を下げる仕組みです。
チラーには空冷式と水冷式の2種類があり、空冷式はファンで空気を取り込んで排熱を行い、水冷式は冷却水を使用します。
チラーを使用することで、夏場でも15〜18℃程度の理想的な水温を維持できますが、チラーの導入には専門的な知識が必要で、適切な選定や設置が重要です。
そして、チラーを効果的に使用するには、定期的なメンテナンスも欠かせません。
チラーに定期点検は必要?
チラーの定期点検は、機器の性能維持と安全性を確保するために不可欠です。
また、フロン排出抑制法により、一定規模以上のチラーには定期点検が義務付けられています。
チラーの定期点検を行う重要性
チラーの定期点検は、寿命を延ばし本来の効果を引き出す上で極めて重要です。
POINT
チラーの定期点検を行う重要性
・潜在的な問題を早期に発見し、大きなトラブルを未然に防ぐ
・チラーの性能を最適な状態に保つ
・安全性を確保することができる
定期的な点検を行うことにより、潜在的な問題を早期に発見し、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
また、適切なメンテナンスにより、チラーの性能を最適な状態に保つことで、エネルギー効率の向上とランニングコストの削減につながります。
さらに、冷媒漏れなどの環境に悪影響を与える問題を防止し、安全性を確保することができるでしょう。
定期点検を行うことで、突発的な故障によるt営業停止などのリスクを最小限に抑えることができます。
フロン排出抑制法により定期点検が義務化
フロン排出抑制法により、一定規模以上のチラーには定期点検が義務付けられています。
POINT
フロン排出抑制法とは?
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)は、フロン類の製造から廃棄までライフサイクル全般に対して包括的な対策を実施するため、フロン回収・破壊法を改正し、平成27年4月に施行された法律です。
引用:経済産業省
この定期点検は、冷媒フロン類取扱技術者などの有資格者が実施する必要があります。
点検内容には、以下のような内容が含まれます。
・機器の異音や振動の確認
・外観の損傷チェック
・冷媒漏れの検査
チラーの簡易点検と定期点検
チラーの管理者は、フロン排出抑制法に基づいて簡易点検と定期点検を実施する必要があります。
これらの点検は、チラーの性能維持と環境保護の観点から重要です。
簡易点検は管理者自身が行えますが、定期点検は専門知識を持つ者が実施する必要があります。
簡易点検と定期点検の違い
簡易点検は、チラーの管理者が自ら行う点検で、3ヶ月に1回以上の頻度で実施します。
ここでいう「管理者」とは、対象機器(第一種特定製品)を所有している企業や法人のことを指します。
主に外観検査や簡単な動作確認が中心となり、下記のような内容の点検を行わないといけません。
POINT
管理者が行う定期点検
・異常音や異臭の有無
・外観の損傷やサビ
・油じみの確認
一方、定期点検は冷媒フロン類取扱技術者などの有資格者が行う専門的な点検です。
定期点検では、専門的な知識と技術を要する項目を詳細にチェックします。
簡易点検が日常的な管理を目的とするのに対し、定期点検はより専門的で詳細な機器の状態確認を目的としています。
チラーの定期点検の頻度
チラーの定期点検の頻度は、圧縮機の定格出力によって異なります。
具体的には、以下の頻度を参考にしましょう。
定格出力 | 定期点検の頻度 |
---|---|
7.5kW以上 | 1年に1回以上 |
50kW未満 | 3年に1回 |
圧縮機の定格出力が7.5kW以上のチラーは、1年に1回以上の定期点検が必要です。
これは、フロン排出抑制法で義務付けられている点検頻度です。
ただし、50kW未満のエアコンディショナーのみ、3年に1回の頻度で定期点検を行うことが認められています。
定期的な点検を行うことで、チラーの性能を維持し、冷媒漏れによる環境への悪影響を防ぐことができます。
チラーの簡易的な定期点検の実施方法
チラーの簡易点検は、フロン排出抑制法により3ヶ月に1回以上の実施が義務付けられています。
管理者自身が行うことができ、主に目視や聴覚による確認が中心となります。
適切な点検を行うことで、チラーの性能維持や冷媒漏れの早期発見につながるでしょう。
簡易点検のチェックポイント
簡易点検のチェックポイントは以下の通りです。
POINT
簡易点検のチェックポイント
・異常音の確認:運転中に異常な音がしていないか注意深く聞きます。
・外観の点検:機器本体や配管に腐食、さび、油じみ、破損などがないか確認します。
・振動の確認:異常な振動がないか確認します。
・温度の確認:冷却水の温度が設定値通りになっているか確認します。
・霜付きの確認:熱交換器に異常な霜付きがないか確認します。
・油量の確認:コンプレッサーの油量が適切か確認します(可能な場合)。
これらの項目を定期的にチェックすることで、チラーの状態を把握し、問題の早期発見につながります。
簡易点検記録の作成と保管方法
簡易点検記録の作成と保管は、法令に準拠した適切な記録管理を行うために重要な手順です。
POINT
簡易点検記録の保管
①まず、各チラー機器ごとに点検記録簿を用意します。
②次に、管理者名、機器の設置場所、型番などの機器を特定する情報、初期充填量といった基本情報を記入します。
点検を実施した際は、点検日、点検者名、各チェックポイントの結果を記録します。
③異常が発見された場合は、その内容と対応策も詳細に記録します。
これらの点検記録簿は、機器を廃棄してから3年間保管する必要があります。
また、点検・整備者等が速やかに確認できるよう、わかりやすい場所に保管することが重要です。
これらの手順を確実に実行することで、フロン排出抑制法に基づいた適切な記録管理が可能となり、チラーの適切な管理につながります。
サウナ用チラーの簡易的な定期点検
サウナ用チラーの簡易的な定期点検では、一般的なチラーの点検項目に加えて、以下のようなサウナ特有の確認事項があります。
POINT
サウナ用チラーの簡易的な定期点検
・水質の確認
サウナの水風呂は多くの人が利用するため、水質管理が重要です。pHや塩素濃度を定期的に測定し、適切な範囲内にあるか確認します。
・配管の目詰まり
サウナを利用する方の汗や皮脂などにより、配管が詰まりやすくなります。循環水の流量や圧力を確認し、異常がないか点検します。
・フィルターの状態
水質維持のためのフィルターが正常に機能しているか確認し、必要に応じて清掃や交換を行います。
・温度センサーの精度
水風呂の温度が正確に制御されているか確認します。実際の水温と表示温度に差がないか確認し、必要に応じてキャリブレーションを行います。
・衛生面の点検
水風呂周辺の清潔さを保つため、チラーの外装や配管接続部に汚れや微生物の繁殖がないか確認します。
・騒音レベルの確認
サウナ利用者の快適性を損なわないよう、チラーの運転音が通常より大きくなっていないか確認します。
これらの項目を定期的に点検することで、サウナ用チラーの性能維持と衛生管理を適切に行うことができます
専門業者が行うチラー定期点検の内容
専門業者が行うチラー定期点検は、フロン排出抑制法に基づき、圧縮機の定格出力が7.5kW以上のチラーに対して年1回以上実施が義務付けられています。
POINT
専門業者が行うチラー定期点検の内容
・外観検査
・性能検査
・構成部品
点検内容には、上記のような内容が含まれます。
外観検査では、機器の異音や異常振動、損傷、腐食、油じみなどを確認。
性能検査では、循環液温度や冷却能力、流量の維持状況をチェック。
構成部品の点検では、冷凍機の点検、冷媒量の確認、熱交換器のスケールや不純物の付着確認。
また、必要に応じてタンクの清掃や消耗部品の交換、冷媒の漏えい検査も実施します。
専門業者が行うサウナ用チラーの定期点検
サウナ用チラーの専門業者による定期点検には、以下のような項目が含まれます。
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専門業者が行うサウナ用チラーの定期点検
・冷媒漏れの点検
冷媒圧力や漏れの有無を専用の機器で確認します。
・電気系統の点検
配線、接続部、制御盤などの電気系統の異常がないか確認します。
・冷却性能の確認
設定温度と実際の水温を比較し、冷却能力が適切に維持されているか確認します。
・フィルターの点検と清掃
循環水のフィルターの目詰まりや汚れを確認し、必要に応じて清掃や交換を行います。
・配管系統の点検
水漏れや詰まりがないか、配管全体を確認します。
・凝縮器の清掃
熱交換効率を維持するため、凝縮器の清掃を行います。
・循環ポンプの点検
異音や振動がないか、正常に作動しているか確認します。
・水質検査
水の清浄度や衛生状態を確認し、必要に応じて調整します。
・各部品の摩耗や劣化の確認
ガスケットやシール部品などの消耗品の状態を確認します。
・制御システムの動作確認
温度制御や安全装置が正常に機能しているか確認します。
上記のような点検を定期的に行うことで、チラーの性能維持と故障の早期発見、さらには衛生的で安全なサウナ環境の維持につながります。
チラーの定期点検を行うメリット
チラーの定期点検には、さまざまなメリットがあります。
ここでは、そのメリットについて1つずつ見ていきましょう。
POINT
専門業者が行うチラー定期点検の内容
・チラーの耐用年数が増加する
・エネルギー効率が向上する
・トラブルの早期発見と対処ができる
チラーの耐用年数が増加する
定期点検を適切に実施することで、チラーの耐用年数を大幅に延ばすことができます。
点検時に行われる各部品の清掃、調整、必要に応じた交換により、機器全体の劣化を防ぎ、性能を維持することができます。
特に、熱交換器のスケール除去や冷媒量の適正化は、チラーの効率的な運転を長期間維持するのに重要です。
また、潤滑油の定期的な交換や圧縮機の点検により、主要部品の寿命を延ばすことができます。
エネルギー効率が向上する
定期点検を行うことで、チラーのエネルギー効率を最適な状態に保つことができます。
点検時に実施される熱交換器の清掃や冷媒量の調整は、熱交換効率を高め、エネルギー消費を抑制します。
また、圧縮機の性能チェックや調整により、不必要な電力消費を防ぐことができるでしょう。
定期的な点検を行うことで、チラーの運転パラメータを最適化し、季節に応じた運転が可能になります。
トラブルの早期発見と対処ができる
定期点検を行うことで、潜在的なトラブルを早期に発見し、対処することができます。
専門技術者による詳細な点検では、異常音や振動、温度異常など、通常の運転では気づきにくい微細な変化を検出できます。
例えば、冷媒漏れの初期段階や、圧縮機の摩耗兆候などを早期に発見することが可能です。
そのため、小さな問題が大きな故障に発展する前に対処でき、突発的な機器停止のリスクを大幅に低減できます。
また、予防的なメンテナンスにより、部品の計画的な交換が可能となり、緊急修理や突発的な部品交換の必要性が減少します。
チラーの定期点検は有資格者や専門業者に依頼しよう!
水風呂に使用するチラーの定期点検は、有資格者や専門業者に依頼するようにしましょう。
有資格者や専門業者は冷媒漏れの早期発見、機器の効率的な運転調整、潜在的な問題の予防など、専門的な知識を活かした点検を行います。
適切に定期点検を行い、チラーの寿命を延ばしましょう。
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お住まいの地域によっては、水風呂を設置しようとしても、水温がしっかり下がらないなどの問題が発生することがありますので、適切な準備が必要です。
そのため、水風呂の設置をお考えの方には、事前にチラー(冷却装置)に関して見積もりを取ることを推奨しております。
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適切な頻度でチラーの定期点検を行おう!
この記事では、チラーの定期点検について解説してきました。
フロン排出抑制法により、7.5kW以上のチラーは1年に1回以上の定期点検が義務付けられていますが、それ以外のチラーも定期的に点検する必要があります。
定期点検を行うことで、チラーの寿命が延び、事前に故障を防ぐことができるので急な故障やトラブルを減らすことができます。
修理が必要になってから後悔しないようにするためにも、定期点検を怠らないようにしましょう。
まとめ
この記事のポイント
・フロン排出抑制法により定期点検が義務付けられている
・定期点検を行うことでさまざまなメリットがある
・有資格者や専門業者にチラーの定期点検を依頼するのがおすすめ